動物にもやさしい、次世代のオーガニック花火「スパーク」 オランダのアーティスト考案

Daan Roosegaarde

◆花火の悪影響 犬も猫も「花火が怖い」
 粒子状物質を含む煙を排出しないスパークは環境にも人間にも優しい。そして動物にも優しい。花火の音が動物を苦しめることを知っているだろうか。

 イギリスの動物愛護団体PDSAのペットのウェルビーイング調査(2018年)によれば、飼い主にペットが怖がることを質問したところ、「花火」と回答したのは犬の飼い主では40%と最も多く(2位は掃除機の音、3位は雷の音/大きい音)、猫の飼い主では34%、ウサギの飼い主では18%だった。これらをイギリス全体のペット数にあてはめると、推定360万匹の犬、380万匹の猫、20万匹のウサギが花火を怖れている。72%の犬の飼い主が「音のない花火をもっと販売すべき」という意見だった。獣医の多くも、花火を含めて音の恐怖症になるペットが増加しており、「特定のイベントや日にちに限って花火を使うようにすべき」と回答した。

 世界最古の動物愛護団体であるイギリスの王立動物虐待防止協会(RSPCA)の調査でも、65%の飼い主が、飼っている動物が近隣の住人の花火遊びの音に苦しめられていると不快感を募らせている。筆者のまわりでも犬を飼っている人たちは嘆いている。スイスでは今年も新年の幕開けに至る所で花火が上げられ、「犬が花火の音をものすごく怖がっていた」と知人たちが話していた。

 花火は野生動物にも影響を与えている。オーストリアで、野生のガチョウ20羽に機器を装着し、心拍数と体温を記録した研究では、花火が上げられた1月1日の年明け(1時間)に、ガチョウの心拍数と体温が急上昇したという。

 花火と動物との関係についてはさらにリサーチが必要だが、花火が地球や人、動物に害を与えることが明らかになってきた今、スパークのような新しいタイプの花火について真剣に考える時が来ているのではないだろうか。

Text by 岩澤 里美