カーボンクレジット付きNFTアートが登場 ケニアで草原回復 課金でアート進化も

人間の姿のエコサピエン。レベル0の「サナギ」とレベル7の「大型植物」|©Ecosapiens

◆カーボンクレジット付き、カーボンオフセット可能
 コレクションには、カーボンクレジットが付く。エコサピエンだと、レベル0の「サナギ」に500ドル(約6万7千円)課金することで16トンのカーボンクレジットが付いてレベル1になる。16トンはアメリカ人一人当たりの年間CO2排出量だ。その後、100ドルで2トンのカーボンクレジットを付けるとレベルが1段階ずつアップし、最後のレベル7で28トンに達する。

 レベル7に達すると、会議やイベントに特別招待されたり、レベル7保有者同士でチャットができるといった特典が付く。なお、購入後のエコサピエンス・コレクションは転売可能だ。

◆オフセットはケニアで実施
 エコサピエンス・コレクションのカーボンクレジットは、ケニアの広大な草原を回復する「ケニア北部放牧地カーボンプロジェクト」で使われる。気候変動の影響を受けた190万ヘクタールの草原が再び緑豊かになれば、30年で 5万トンのCO2を除去・蓄積できる。これは自動車1000万台以上の年間CO2排出量に相当するという。

 このカーボンプロジェクトは自然だけでなく、先住民や地域コミュニティにも社会的・経済的利益をもたらす点が注目されている。昨年は企業やNGOで構成される自然気候対策(NCS)同盟が太鼓判を押し、同盟が選出する、世界の高品質なカーボンクレジット一覧「NCSライトハウジーズ」に新たに加えられた。

 12種類のエコサピエンス・コレクションは、サンフランシスコに本社を置くベンチャー企業エコサピエンス(Ecosapiens)が開発した。今回のNFTアートは同社のサービスの第1弾に過ぎない。筆者はCEO(最高経営責任者)のニハール・ニーラカンティ氏から以下のコメントをもった。

 「今回のコレクションを展開するだけでなく、地球にポジティブな影響を与えることが簡単で楽しくなるようなさまざまなデザインのデジタルグッズのコレクターズアイテムを作る予定です。また、ほかのWeb3やNFTアートのプロジェクトとコラボしたり、Web3の活用とサステナビリティの両方に取り組んでいる著名なブランドとコラボしたコレクション作りも計画しています」

 今後も、同社が打ち出す新しく気軽に取り組めるエコ活動に注目したい。

Text by 岩澤 里美