洪水の後は疫病、食糧難……二次三次被害に苦しむ国々 世界で異常気象頻発
◆4年続いて洪水の南スーダンと隣国スーダン
2011年に独立したばかりのアフリカ中部の内陸国、南スーダンは、雨季の雨がたたり、4年続けて洪水に見舞われている。10月21日の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の発表によれば、今年の洪水の影響を被る住民は90万人以上とされる。洪水により井戸もトイレも水没したため、水源が汚染され、水が媒介する病気のリスクも高まっている。
その隣国スーダンでも5月に始まった雨季から洪水が発生し、9月15日の時点で少なくとも134人が死亡、数万の家屋が破壊されている。スーダンでもインフレは激しく、パンの値段などはこの1年で10倍に跳ね上がっている。国連は、スーダン国民の3人に1人は人道的援助を必要としていると見ているが、この洪水により飢餓のリスクはさらに高まった様相だ。
◆CO2排出量極小国が割を食う
これらの洪水の大きな原因とされるのが地球規模での気候変動だ。だが、パキスタン、ナイジェリア、南スーダン、スーダンも、温室効果ガス排出量は世界の1パーセントに満たない国々だ。国民1人当たりの排出量も少なく、いずれの国も最少国から数えたほうが早い。
これらは気候変動をもたらす原因を引き起こす国と、その結果に苦しむ国とが一致しないことを明確に示している。前者が後者を支援するのはある意味当然のことと言えよう。
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