2020年の自然災害は異常なのか? 専門家は今後さらなる悪化を予測

AP Photo / Noah Berger

 カリフォルニア州で発生している火災は、20年近く続く深刻な干ばつによる追い打ちを受け、過去最悪規模に拡大している。通常は火の手の及ぶことのない、北に隣接するオレゴン州の一部も炎に包まれている。

 一方、大西洋では、今年に入って16、17個目の名前がつけられた熱帯低気圧が渦を巻いており、この時期としては記録的な発生数となっている。日本と朝鮮半島には、大型台風「ハイシェン」が直撃したばかりだ。8月には、カリフォルニア州デスバレーで気温が54.4℃に達し、地球はここ100年でもっとも暑くなっている。

 アリゾナ州フェニックスでは37.7℃以上が続く記録的な猛暑である一方、コロラド州では先日、気温32.2℃から一転、雪に見舞われた。極寒の地として知られるシベリアでは、2020年初めに気温が37.7℃に達し、加えて山火事が発生した。その前には、オーストラリアと南米アマゾンでも森林火災が発生している。

 このような状況のなか、大型ハリケーンに匹敵する暴風「デレチョ」がアイオワ州を襲い、数十億ドルもの損害が生じていることはあまり知られていない。

 波乱の続く2020年、科学者によって気候変動との関連性が示されることの多い奇妙な自然災害が、いたるところで発生しているようだ。しかし将来、災害がそれほど過酷でなかった古き良き時代だったと、いまを懐かしむようになると専門家は述べる。

「自然災害は、いまよりもかなり激しさを増すでしょう。想像もつかないことですので、強調して伝えています。そして、2020年にそれを受け入れるには、気候科学者として恐怖を感じるのです」と、ジョージア工科大学の気候科学者キム・コブ氏は語る。

 NASA(アメリカ航空宇宙局)の前主任科学者であり、コロラド大学環境科学研究所長ワリード・アブダラティ氏は、自然災害の深刻化や、石炭、石油、ガスの燃焼による気候変動がたどる道は明確であり、物理学の基本であると述べる。

「私たちは10年後、きっと20年後、そして50年後には必ず今年のことを思い返し、『2020年は実にとんでもない年だった、けれどもあの1年が恋しい』と話すことでしょう。私はそう確信しています」と同氏は言う。

 現在起きていることは、優秀な気候科学者たちが10年もしくは20年前に予測していたことなのだ。

 ノースカロライナ州に所属する気候学研究者キャシー・デロ氏は、「現在の状況は、私たちが10年ほど前にいつも話していたことのようです」と話す。

 とはいえ、「その当時に、いま起きている甚大な災害を突き止めるのは困難でした」とコブ氏は述べる。将来に起こる気象災害を現時点で見抜くことが難しいことと同様である。

「2020年という年は、2000年の素晴らしいSF映画のテーマになっていたとしてもおかしくないほどです。私たちはいま、新型ウイルス感染拡大に加えて、実際に起きている災害という災害を注視し、熟考する必要があります。その見通しはこれ以上ないほど厳しく、ただ恐怖を覚えるものです。2030年代は2020年代よりもはるかに過酷な状況になるでしょう」と、コブ氏は語る。

 ミシガン大学環境学部長であり気候科学者のジョナサン・アバーペック氏によると、気候変動により大気がすでに乾燥しているため、30年以内には「現在起きている自然災害よりも規模が倍になると確証している」という。

 風はさらに強まり、干ばつはさらに広大な地域に及ぶ。そして豪雨や洪水は激しさを増すだろうと、アブダラティ氏は述べる。

「物理的な規則や法則を理解している人々にとっては、私たちが直面しているようなことに驚きはありません」と、アブダラティ氏は話す。

「2020年に理由を求める人は多いですが、この年に何かあったわけではありません。何が気候変動をもたらしたのか、私たちは知っています」と、デロ氏は話す。

 世界の環境をエンジンに例えるとすれば、「私たちがたくさんのエネルギーを注入した結果、多くの熱を大気中に蓄積させてきたのです」と、世界気象機関のペッテリ・ターラス事務局長は話す。

 つまり、熱帯低気圧のエネルギーは強まり、また、ある場所では干ばつが引き起こされ、別の場所では豪雨となるような降雨パターンへと変化が生じると、ターラス事務局長は述べる。

 約93万ヘクタールがすでに焼失したカリフォルニアでは、気候変動で乾燥した草木によって火がさらに燃え広がり、炎に飲み込まれたと、コロラド大学の火災科学者ジェニファー・ボールチ氏は述べる。アバーペック氏によると、カリフォルニアは20年近く続く大規模干ばつのさなかにあり、ヨーロッパからアメリカへ人々が移住して以来、初めての事態だという。

 科学者は、猛暑と気候変動についても直接的な因果関係があると指摘する。

 アバーペック氏によると、デレチョなど、災害によっては人間が作りだした温暖化現象との直接的なつながりが現時点では見出せないものもあるという。しかし、時間の経過とともに全体像を見ることで問題が浮き彫りになる。大気中に蓄積された熱エネルギーに関する物理学の基本に行き着くのだ。

「私は世間を騒がせたくありませんし、人々を怖がらせるつもりもありません。とてつもなく大きな影響力を伴う問題であり、正しく理解しないままでは深刻すぎることなのです」と、アブダラティ氏は話す。

 アバーペック氏によると、気候は今後さらに過酷になる見込みではあるが、激しい異常気象に見舞われた2020年を次世代の人々が思い起こし、考えることで希望も存在するという。

「私たちは過去を思い起こすでしょうし、今後も異常な年を何度も経験するでしょう。その上でこの2020年を振り返ったときに、なかなか異常な年であったが、おかげでアメリカにおける気候変動について行動を起こすきっかけになったと話すことができればと思います」と、アバーペック氏は語る。

By SETH BORENSTEIN AP Science Writer
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP

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