世界一サステナブルな通貨、キームガウアーとは

Christian Gelleri / Wikimedia Commons

「サステナビリティ」という言葉を聞いて連想することは、自然や食事が多いかもしれない。しかし、わたしたちに最も身近なものの一つである「お金」も実はサステナビリティに大きく関わっている。生活をしていくうえで欠かせないお金だが、システムとしてのお金を理解することで、持続可能な環境に影響を与えることができる。ドイツのキームガウアー(Chiemgauer)という地域通貨は、世界一サステナビリティの高い通貨といわれている。キームガウアーは、その特性から別名「腐るお金」とも呼ばれている。

◆はじまりと仕組み
 通貨名であるキームガウアーは、ドイツ・バイエルン州のプリーン・アム・キームゼーが由来となっている。その地域を中心とした一帯で流通している地域通貨である。高校の教師であるクリスティアン・ゲレーリ氏が2003年、生徒とともに立ち上げた。最初は生徒たちに地域経済の役割をより深く理解してもらうために実践的なプロジェクトとして始まった。最初の年は、わずか130人のユーザー登録と7万5000ユーロ(約950万円)の売上高だったが、その後少しずつ需要が増え、世界で最も成功した代替通貨に成長した。

 実際にどのような仕組みになっているかというと、まずメンバーのNPO団体が、運営事務局から100キームガウアーを97ユーロで購入する。NPOは一般市民に、100キームガウアーを100ユーロで販売することができ、差額の3ユーロを活動資金に充てる。市民はそのお金で買い物をすることで、地産地消に貢献することができる。そして地元事業はほかの事業者からの仕入れにキームガウアーを利用するか、または事務局で100キームガウアーを95ユーロのレートで再両替もできる。5%の手数料は取られるが、これは会計上広告費に計上可能である。

Text by sayaka ishida