グレタ・トゥーンベリ「大人は世界観を脅かされると子供をばかにする」

Ryan Remiorz / The Canadian Press via AP

 10代のスウェーデン人活動家グレタ・トゥーンベリさんは9月27日、科学に従って行動する子供たちや10代の若者を、大人や世界的な指導者が嘲笑する理由が理解できないと訴えた。気候変動対策を求める学生らによる抗議行動が世界的に広がりを見せ、火付け役であるグレタさんの活動への手厳しい批判に応えたものだ。

 トランプ大統領をはじめ、グレタさんを嘲笑してきた大人について尋ねられると、「おそらく、気候変動対策を求める積極的な行動によって、自分たちの世界観や利益が脅かされると感じているのでしょう」と16歳の活動家は言う。

 カナダのトルドー首相との面会を終えたグレタさんは、「私たちの声がとても大きくなり、扱いにくくなってきたのでしょう。私たちを黙らせたいと思っているのです。批判の声も賛辞だと受け取ろうと思います」とモントリオールで開催された抗議集会で話している。

                                                                                                                 

 気候変動問題に対する若者の抗議行動は、学生たちが過剰に騒ぎ立てているにすぎないと非難し、学校に行く方がましだと考える人々からの批判を浴びてきた。世界的な指導者たちに語りかけたグレタさんの熱い演説に対し、トランプ大統領はツイッターで辛辣にからかった。「明るく素晴らしい未来を楽しみにしている、とても幸せな少女のようだ。見ていてとても楽しい!」

 トランプ大統領を名指しすることはなかったが、「子供や10代の若者がただ対話を行い、科学に従って行動していることを、大人たちはなぜばかにしようと思うのか。代わりに何か良いことをしてもいいのに」とグレタさんは言う。

 モントリオールで開かれた午後の抗議集会で演説した時には、「グレタ! グレタ!」という大歓声が沸き起こった。

「学校や仕事を休むことになろうと、この危機が深刻化するのを防ぐために、私たちはあらゆる努力をします。みんな声をあげてきました。そして私たちは、指導者が耳を傾け、行動を起こすまで、声をあげ続けます。変化を引き起こすのは私たちです。そしてそのときは来ているのです」と、グレタさんは話す。

 グレタさんの言葉は、イタリアの学生たちにも届いた。スウェーデンの10代の若者に触発されて始まった気候変動対策を求めるストライキの一環で、象徴的な意味を込めて地球の模型に火をつけ、抗議の意を表した。9月23日からニューヨークで開かれた国連サミットで、グレタさんが表現した怒りに同調する参加者もいた。

 イタリアの金融中心都市ミラノで開かれた抗議集会では、「How dare you !(よくもそんなことを!)」と書かれた横断幕が掲げられた。何万もの人々が通りに繰り出し、巨大な地球模型が燃え尽きる様子を見守った。

 ローマで開かれた抗議集会にも10万人以上が参加し、「気候ではなく、システムに変化を」などのスローガンや「未来」と記したプラカードが掲げられた。

 国連サミットに先立ち、世界中では数十万人が抗議集会に参加した。その1週間後には、地球温暖化が若い世代に与える影響についての懸念がさらに広がり、新たにインドやスペイン、ポルトガル、スウェーデン、フィンランド、オランダ、ボリビアでも抗議行動が行われた。

Massimo Percossi / ANSA via AP


AP Photo / Nick Perry

 ニュージーランドでは、首都ウェリントンで過去最大規模の抗議デモが行われ、学生たちが議会へ向かって行進した。

 ベルリンでは「Fridays for Future(未来のための金曜日)」の活動家らが、降り続く雨をものともせず、温室効果ガス排出量削減に向けてドイツ政府が最近合意した一連の政策を敢然と批判した。世界第6位の排出国ドイツが、2015年に採択された画期的な「パリ協定」の目標に達成するにはほど遠い内容である、と専門家は指摘する。

 俳優のハビエル・バルデム氏は9月27日の朝、スペインのサン・セバスティアンで行われた、数十名の若者による集会に参加した。マドリードやバルセロナなど主要都市で、同日夕方に開催される抗議デモに先立ち、国内ではほかにもいくつかの集会が開かれていた。バルデム氏は、自然保護団体グリーンピースと取り組んでいるドキュメンタリー作品の宣伝を行った。

 オーストリアで開催された抗議集会には、主催者発表で15万人が参加したと伝えられているが、一方で地元APA通信社が報じた人数は6万5千人であった。

 ポーランドの首都ワルシャワでは、テントに体をしばりつけた抗議デモ参加者らによって中心街の道路が封鎖された。警察と消防が説得を試みた。

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでは、グレタさんの影響を受け、2019年3月から学校ストライキが行われてきた。有名なマージョ広場から国会まで、数千人がデモ行進した。チリやボリビアなど中南米の至る所で抗議行動が行われた。

 巨大なモアイ像で知られるチリのイースター島においても、抗議集会が開かれた。

 グレタさんはカナダでトルドー首相と面会し、気候変動問題に取り組む活動が高く評価された。

「グレタさんは時代を代表する声であり、指導者に対し、より果敢に、そして改善に向けて対策を講じるよう求めている若者たちの代弁者です。私はその声に耳を傾けています」とトルドー首相は語る。

 選挙キャンペーンの最中であるトルドー首相は、10年後をめどに20億本の木を植える計画を発表した。

 しかしながら、活動に理解を示す指導者たちに対しても、できることはまだ多くあるはずだ、とグレタさんは指摘する。世界各地の海水と寒冷地における温度上昇がもたらす影響について、科学者が切迫した警告を新たに発表したばかりだ。

 グレタさんはモントリオールの集会で、あらゆる世代の人々が情熱をもって信念に向かう姿は感動的であると訴えた。

「トルドー首相の行動が足りないのは、もちろん明らかです。しかしこれはどう考えても非常に大きな問題なのです。間違っているのはシステムなのです。どの政治家に対しても、私からのメッセージは一つだけです。科学に耳を傾け、科学に従って行動してください」

By ROB GILLIES and FRANK JORDANS Associated Press
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP