「ベジタリアン」「ヴィーガン」ではなく「プラントベース」が注目を集める理由

Ryan Soderlin / The World-Herald via AP, File

 「ヴィーガン」ではない。「プラントベース」だ。肉好きな人は果たしてそのような食品を口にするだろうか?

 企業が健康的な食事に対するアメリカ人の関心に応えようとするなかで、一部の食品において「プラントベース(訳注:植物由来の食品を中心とした食事法)」という用語が「ヴィーガン」や「ベジタリアン」と置き換わりつつある。ヴィーガンやベジタリアンなどの用語が食欲を減退させたり、対立を生み出したりしかねないという懸念があるからだ。

 インポッシブルフーズ社は、肉を原料として使用せずに肉のような味がするパティを製造しているが、自社のハンバーガーをメニューに掲載する時には、これらの用語を使わないようレストランに要請している。

                                                                                                                 

「大勢の人々にとってヴィーガンという概念は、動物由来の食品を食べてしまった人に対し、露骨に抗議の態度を示す人のことを指すものだ。私はヴィーガンだ。だが、多くの人にとってこのヴィーガンという用語は、ほとんど狂信じみた宗教であると言ってよいだろう」とインポッシブルフーズの最高経営責任者であるパット・ブラウン氏は語る。同社はアメリカのハンバーガー・チェーンであるホワイトキャッスルを含めおよそ3,000のレストランへバーガーを出荷している。

「ヴィーガン」や「ベジタリアン」という用語は、厳格に菜食中心の食生活を守っているわけではない人々を遠ざけてしまいかねない。流行を先取りした用語である「プラントベース」ならば、市場のより幅広い層に訴求することになるだろう。「プラントベース」という用語を使えば、ヴィーガンやベジタリアン用の食品が一種のブランドであるという認識にとらわれずにその製品を受け入れてもらえる可能性もある。

 2016年に設立された業界団体であるプラントベーストフードアソシエーションの事務局長を務めるミッシェル・サイモン氏は、「ヴィーガン」という用語は製品の原材料に含まれていないものも示しており、剥奪された、という後ろ向きの考えと関連付けられてしまうと語る。同氏は、「プラントベース」という用語であれば、製品の原材料に使われているものを端的に示すため、もっと前向きな意味を含めることができると述べた。

「私は、両方の用語が共存する余地が市場にはまだあると思う」とサイモン氏は語り、依然、誇らしげに「ヴィーガン」という用語を使用している企業もあると述べた。

「ヴィーガン」「ベジタリアン」そして「プラントベース」という用語は、厳密に区別されているわけではない。しかし、一般的に「ベジタリアン」は肉類を一切食べないという意味だが、「ヴィーガン」は乳製品や卵を含む動物由来の原材料を一切口にしないことを意味する。

 特定の食品や製品を指す場合、「プラントベース」という用語は、より厳格な「ヴィーガン」の定義の意となるが、必ずしも常に明確に区別して使用されるわけではない。より広範な食習慣について言えば、「プラントベース」は通常、野菜中心の食生活を意味するが、肉や魚が含まれる場合もある。このように明確な定義が欠落しているため、プラントベーストフードアソシエーションは「プラントベース」という用語の定義付けに取り組んでいる。

 肉を使用しないでパティを製造する、また別のメーカーであるビヨンドミートは、肉食を好む人たちにも納得してもらいたいという願いを込めて、「ヴィーガン」や「ベジタリアン」の用語を使わないようにしている。ビヨンドミートは、同社が「ペナルティーボックス」と呼ぶスーパーマーケットの冷凍ベジタリアンフードの売り場ではなく、肉売り場に陳列してもらうことに力を入れている。

 さらに数週間のうちに、新しい液体の鶏卵の代用品が生鮮食料品に入荷する予定であり、この製品のボトルには「植物由来の製品」である旨のラベルが貼られる。この「ジャストエッグ(訳注:植物タンパクから作られたスクランブルエッグ)」という製品は、鶏卵と並行して販売されることになるが、「ヴィーガン」の用語は製品のどこにも見当たらない。

「プラントベースは実際に美味しい食品であるという認識がより一層定着した」とジャストの最高経営責任者であるジョシュ・テトリック氏は言った。

 ケロッグは、ベジタリアンのブランドとしてより広く定着しているモーニングスターファームズを保有しているが、同社のマーケティング幹部であるディック・ポディアック氏は、モーニングスターファームズでは、「ベジー」もしくは「ヴィーガン」という用語を引き続き使っていると語る。その理由は、より多くの人たちがこれらの用語を理解しており、例えば卵などの原材料が使用されているかどうかについての混乱を避けるのに役立つからだという。

 しかし、モーニングスターファームズは同時に「プラントベース」という用語も次第にマーケティング活動に組み入れつつある。ポディアック氏は、同社は、人々が雑誌の記事で読んだり、食事療法士から聞いたりするであろう「プラントベース」というライフスタイルに同社の製品がフィットすることを伝えていきたいのだという。

 ブランディングエージェンシーであるPS212のニック・コンティス氏は、「プラントベース」という用語はより広い訴求力を持つ可能性を秘めているが、同時にまた、従来の古いコンセプトに対し、単に新しい用語を当てはめただけだろうと思う人もいると語った。

 そして、コンティス氏は「決して『ベジー』バーガーを食べようとしない人々がいたとして、彼らに『プラントベース』バーガーを見せた場合、突然『おや、私もこれなら食べてみようかな』などと突然言い始める人は誰一人としていないと思う」と述べた。

By CANDICE CHOI, AP Food Industry Writer
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

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