エボラ×感染 海外の反応まとめ

 日本企業の技術力は、エボラ対策の救世主となり得るだろうか。

 ギニアをはじめとする西アフリカにて2013年12月頃から、最強の感染性と毒性を持つエボラウイルスが原因となって発症するエボラ出血熱が流行し始めた。2014年6月頃より感染が急拡大して深刻な事態となっている。

 エボラの拡大が世界中で騒がれる中、富士フイルムのグループ会社が開発したアビガンという薬が注目を集めている。

 アビガンは、富士フイルムのグループ会社である富山化学工業が開発し、2014年3月に薬事承認を取得した、抗インフルエンザウイルス薬である。西アフリカからヨーロッパに緊急搬送されたエボラ出血熱患者複数人に対し、緊急対応として投与された。アビガンを含む複数の未承認薬が投与されたフランス人看護師は無事治癒し、退院している。

 世界中のメディアは、アビガンを作成した富士フイルムに大きな期待感を抱いており、マーケットもそれに順応する形で、富士フイルムの株価は一時期急上昇した。

 その他でも、感染拡大の中、エボラ対策に向け多くの日本企業が賢明な取り組みをみせ、関連してそれら企業の株価が上昇する結果となった。

 日本政府は、アビガン等のエボラに有効と考えられている薬は、未承認薬ではあるが、「要請あれば提供」すると政府方針を固めた。世界中からは、その効果に加えて、在庫が多く存在することも期待されている理由だとされている。

 以下、昨今の主要な海外の反応をまとめる。

1)富士フイルムの薬が世界を救う? 投与されたフランス人患者が回復、退院

 富士フイルムグループの抗インフルエンザ薬が希望の光となるかもしれないと、一気に世界的注目を集めている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(ウォール紙)によると、富士フイルムのグループ会社である富山化学工業のファビピラビル(商品名アビガン)が、エボラの治癒に貢献したとのことだ。

『BIDNESS ETC』によると、米国立衛生研究所はエボラワクチンの開発に努めており、またTekmira Pharmaceuticals、BioCryst Pharmaceuticals、Sarepta Therapeuticsなどの各社も治療法を開発中とのことである。世界中の機関が、エボラに向けた特効薬を模索する中、今回の富士フイルムの功績を多くのメディアが取り上げている。

(今回フランスで使われた富士フイルムのファビピラビル(アビガン)は、アメリカでは抗インフルエンザ薬として最終検証段階にあり、まだ承認はされていないという。同社と提携する米メディベクターは、ファビピラビルをエボラ出血熱感染者の治療に使えるよう、米食品医薬品局(FDA)に申請する意向とのことである。)
詳細はこちら

2)富士フイルム、エボラ出血熱対策で抗インフル剤増産 海外メディアも効果に注目

 富士フイルムは10月20日、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」(一般名ファビピラビル、以下アビガン)を11月中旬から追加生産すると発表した。アビガンのエボラ出血熱に対する効果が期待されているためだ。

 富士フイルムは、現時点で2万人分のアビガン錠剤を有し、原薬としてさらに30万人分程度の在庫を保有している、とWSJは報じている。

(アビガンには、エボラ熱治療薬としての期待が寄せられている。エボラ熱治療のため未承認薬剤が容認された8月から2ヶ月で、富士フイルムの株価は約30%上昇した。10月7日には、過去6年間の最高値3,800円を記録した。このことからも、世界からの富士フイルムに対する期待の高さがうかがい知れる。)
詳細はこちら

3)日本のエボラ未承認薬、「要請あれば提供」と政府方針 在庫多く海外注目

 菅官房長官は記者会見で、エボラ出血熱への効果が期待される日本製のインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」について、世界保健機関(WHO)からの要請や、医療従事者から緊急の要請があった場合には、日本の国際協力の一環として、企業と協力して提供する用意がある、と発表した。

 ファビピラビルの強みの一つは、豊富な在庫量だ。広報担当者によれば、同社には患者2万人分以上のストックがあるとのことだ。テレグラフ紙とAP通信が伝えている。

(WHOは、エボラ出血熱の感染拡大に対応するために、試験段階にある未承認薬の使用をめぐって検討を続けている。現今の状況下では、条件が満たされた場合には、効果や副作用が現段階では未知数であっても、倫理的に問題ないという合意に達した、との声明を発表している。)
詳細はこちら

4)エボラ予防マスク、1万枚を日本企業が寄付 感染拡大の中、関連企業の株価アップも

 エボラ出血熱の感染拡大が広がるアフリカに、愛知県のフィルターメーカー「くればぁ(Clever)がマスクを寄付した。特殊なコーティングでエボラを始めとする99%のウイルスを不活性化するもので、他国からも問い合わせが来ているという。

 エボラ出血熱の感染が広がる中、予防・治療に関連するとみられる日本企業の株価が上昇している。フィナンシャル・タイムズ(FT)紙によると、富士フイルムの株価は最大4.2%上昇した。防護服メーカーのアゼアス株式会社や、マスクなどのメーカー重松製作所も、10月初旬に急上昇した((FT)。

(エボラの感染が騒がれる中、日本の企業が行った善意活動を取り上げた記事。日本の素晴らしい技術が、世界中の人々を救う結果となったことについて、日本人としての誇らしさを感じる記事である。)
詳細はこちら

Text by NewSphere 編集部