罰金・賠償金800億円…トランプ氏に噂される「資金難」

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◆家族を使って共和党資金流用を画策?
 そんななかで、今年に入ってから共和党全国委員会(RNC)で異変が起こっている。トランプ氏がこれまで同委員会で委員長を務めていたロナ・マクダニエル氏を半ば強制的に追放したのだ。CNNによると、マクダニエル氏は今月下旬に行われるサウスカロライナ州予備選後に委員長職を退く予定で、後任にはトランプ氏が推すノースカロライナ州共和党委員長のマイケル・ワトリー氏が就任する可能性が高い。トランプ氏はまた、次男エリック氏の妻のララ・トランプ氏を共同委員長として就任させようと試みているという。

 MSNBCによると、ララ氏は「共同委員長に就任したら、すべての資金を共和党全国委員会の第一かつ唯一の仕事、この国を救うためドナルド・トランプをアメリカの大統領に当選させるため使う」と話してひんしゅくを買った。共和党大統領選予備選に出馬中のニッキー・ヘイリー氏は、CNNのインタビューで「私の最大の懸念は、トランプ氏がRNCを自分の弁護資金として使うことだ」「私はRNCが彼の貯金箱になって欲しくない」と話し、ララ・トランプ氏が共同委員長に就任することについてけん制した。

 トランプ氏の前途には資金難だけでなく、今後も数多くの裁判という障害物も立ちはだかっている。直近では3月25日から、元ポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏に不倫の口止め料を渡したとする選挙資金法違反の刑事裁判がニューヨークで開始される。実際にダニエルズさんに口止め料を渡したトランプ氏の元弁護士、マイケル・コーエン氏はすでに実刑判決を受け、刑期を終えて検察側の証人となっているため、トランプ氏も有罪となれば実刑判決を受ける可能性が高い。同氏にとってはこの裁判が今後の運命を決定する分かれ道となるだろう。

Text by 川島 実佳