米、ゲリマンダー是正で2024年は民主党有利か 選挙区割りで攻防

共和党提案のアラバマ州の連邦下院選の区割り案(7月18日)|Kim Chandler / AP Photo

 2022年のアメリカ中間選挙で共和党が過半数を奪回できた理由の1つは、選挙結果が自党に有利になるよう選挙区の境界線を事前に決定する「ゲリマンダー」にあると言われる。そのゲリマンダーを2024年の総選挙前に是正するため、現在深南部州を中心として訴訟を起こしているのが民主党弁護士や人権団体である。

◆白人優勢となるため黒人居住区域を分割
 ゲリマンダーは、多文化・多人種の移民の国であるにもかかわらず、建国以来白人系が実権を握り続け、政治が二党制かつ人種や居住地域により支持政党が異なるアメリカ独自の問題ともいえる。

 事実、アメリカで「ゲリマンダー」といえば、一般的には連邦下院選挙や州議会などの地方選挙で共和党候補を当選させるため、黒人人口が多い地域で黒人が多数派にならないよう選挙区の境界線を分割する行為を指す。特に黒人人口が多いが、共和党が議会を支配している南部州を中心として頻繁にみられる慣習だが、そのような州では共和党が議会を実効支配していることもあり、これまではうやむやにされてきた問題である。

◆最高裁「違法可能性」、アラバマ州のゲリマンダー
 そのような南部州のなかで、まず槍玉に挙げられたのが深南部アラバマ州である。黒人には民主党支持者が多く、同州の黒人人口率は約27%だが、7区ある選挙区のうち黒人人口が多数派を占めるのは1区のみだった。結果、民主党議員はその区からしか選出されず、これでは人口に比例した政党に属する議員が選出されているとはいえない。それもそのはずで、同州では黒人人口が多数居住する地域が分割され、ゲリマンダーにより隣接する白人多数の区に分けられていたのである。

Text by 川島 実佳