「レッドウェーブ」なぜ不発? 世論調査とメディアが作った中間選挙の虚構

ホワイトハウスで会見するバイデン大統領(11月9日)|Susan Walsh / AP Photo

◆上院は民主党が多数派維持
 今回の選挙では「ロー対ウェイド」のように権利を覆されて民主主義を失う恐怖からか、またはインフレーションにもかかわらずバイデン政権や民主党の政策が一定の評価を受けたのか、多くの有権者が投票を行った。特にミレニアルやジェネレーションZと呼ばれる若年層の投票率が高かったといわれる。その影響もあったのか、民主党は最後まで接戦が繰り広げられたネバダ州上院選を制して、多数派維持に必要な50議席に到達。12月に決戦投票が行われるジョージア州も制すれば51議席となる。

 AP通信によると、まだ多数派が決定していない下院では、14日までの開票の結果、共和党が217議席を獲得し、過半数まであと1議席に迫った。

 一方、トランプ前大統領の支持を受けて、アリゾナ州やミシガン州、ペンシルバニア州など、前回の選挙でバイデン氏が勝利した州で共和党から立候補したMAGA候補者たちの多くは敗北する結果に終わった。これらの過激な政治思想を持つMAGA候補者がトランプ支持者以外からの支持を得られなかったことも、今回の中間選挙におけるレッドウェーブの失敗の理由の一つと言えよう。トランプ氏の大統領選出馬表明を控え、共和党では今ごろ、どのようにして同氏から距離を置くかに頭を悩ませていることだろう。

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Text by 川島 実佳