カンザスの再現、米中間選挙で民主党が勝つ? マイケル・ムーアが予言

10月29日に中間選挙の期日前投票をしたバイデン大統領|Tasos Katopodis / Pool Photo via AP

 11月8日の中間選挙まで1週間を切ったアメリカでは、選挙前特有の緊張感が漂っている。とくに今回の下院選では、全国的に大幅な選挙区変更があったことや、インフレによる価格高騰などが原因で、選挙前の下馬評では共和党が過半数を獲得する可能性が高いと言われている。世論調査や統計サイトなども同様の指摘をしており、民主党支持者の間には絶望的な気分が広がっている。

 しかし、大企業や高所得者向けの減税を計画している共和党が、世界的に起こっているインフレを改善できるかというのは疑問が残る。もし下院で共和党が過半数を獲得した場合、バイデン大統領が「MAGA」と呼ぶトランプ派共和党議員たちは、今後2年間でバイデン大統領を弾劾し、バイデン大統領の息子ハンター氏を追及する調査委員会の結成を真剣に考えているようだ。

 そのほかにも共和党は、今年6月に最高裁で「ロー対ウェイド」判決が覆されたことに乗じて中絶禁止の連邦法化や同性婚の見直しを狙うほか、社会保障や保険制度の縮小なども提起。アメリカがここ数十年間で築き上げてきた進歩を後退させるだけでなく、トランプ氏という権威主義者を支持することにより、民主主義を滅ぼすのではないかと民主党は危惧している。
 
◆マイケル・ムーアが予言「民主党の津波」
 今回の中間選挙で本当に共和党が下院で過半数を得るのだろうか? その予測に異論を唱えるのが『華氏911』などのドキュメンタリーで有名な映画監督のマイケル・ムーア氏だ。同氏は2016年の大統領選でドナルド・トランプ前大統領の当選を予測したことで知られているが、今回の中間選挙でも統計に異を唱え、民主党の勝利を予測している。「マイクズ・ミッドターム・ツナミ・オブ・トゥルース」と題された記事で、同氏は今年6月に最高裁がロー対ウェイド判決を覆した結果として「2022年11月8日、これまでになかった津波のような有権者が大挙して投票所に押し寄せ、非暴力、合法的、そして容赦なく、民主主義に背くすべての者たちを取り除くだろう」と予言している。
 
 政治専門メディア「ヒル」の記事によると、ムーア氏は歴史的に保守派が強いアラスカ州で最近実施された下院の欠員選挙で、民主党でネイティブ・アラスカンのメアリー・ぺオトラ氏が共和党のセーラ・ペーリン氏を抑えて勝利したことを例に挙げている。もちろんこれはセーラ・ペーリン氏が非常に不人気であることや、共和党員が2人出馬したことで票が割れたことも関係しているが、それでもアラスカ州で民主党員が最多票を獲得するなど誰も考えていなかったことで、アメリカ人の多くは同州での民主党勝利に驚いたことだろう。

Text by 川島 実佳