復活するバイデン大統領の支持率 「ダーク・ブランドン」ミームにも

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 アメリカではこの春から夏にかけて、新型コロナウイルス明けの好景気からインフレに突入。それも石油や物資の値上がりを名目に値上げをした企業が、史上最高の利益を上げて人々の生活を圧迫。ミドルクラス以下の人々が不満を抱き、多くのアメリカ人はそれをバイデン政権と民主党の失策として考え、共和党に恰好の攻撃材料を与える結果となり、バイデン大統領の支持率も低迷。統計サイト『FiveThirtyEight』によると、2021年1月25日には55%で最高を記録した同大統領の支持率は、7月21日には最低の37.5%まで下がった。

 しかしインフレが落ち着いて物価が安定してきたこと、そして全米自動車協会(AAA)によると、国内のガソリン価格が史上最高の1ガロン5.02ドルを記録した6月14日から下がり始め、9月1日の3.83ドルまで約2ヶ月半連続で下がり続けていることなどが追い風となり、バイデン大統領の支持率がまた上昇傾向に転じた。アメリカでは1ヶ月ほど前まで不況の到来が叫ばれていたが、価格の上昇が止まったこと、そして失業率も最低レベルに留まっていることで、最近はその声も聞かれなくなってきた。前出FiveThirtyEightによると、9月1日現在の世論調査による支持率は42.7%で、1ヶ月前よりも2.8ポイント高くなっている。

◆インフレ抑止法と学生ローン減免で人気アップ
 バイデン大統領支持率アップの理由はほかにもある。その一つは、バイデン政権が発足直後からミドルクラス以下の人々のための政策を打ち出していることだ。とくに、ヘルスケアや気候変動対策を盛り込み、8月16日に成立したインフレ抑制法は、バイデン政権のこれまで最大の成果と言われている。その後24日には、2万ドルまでの学生ローン減免を盛り込んだ計画を発表。共和党員からは「不公平」「人気取り」などの声が上がっているものの、国民全体ではおおむね好意的に受け取られており、減免を受けた人々からはツイッターなどで歓喜の声も聞かれている。

Text by 川島 実佳