公文書持ち出し疑惑か FBIがトランプ邸宅捜索 在任中からずさんな文書管理

トランプ氏の邸宅マーアーラゴ(8月9日)|Lynne Sladky / AP Photo

◆トランプ政権のずさんな公文書の扱い
 トランプ氏の場合、退任後に公文書を持ち出しただけでなく、在任中から文書を公的なものとして維持するという意識の低さが垣間見られた。これは政治経験がなく法律の専門家でもない会社経営者、テレビタレントが大統領になった結果かもしれない。トランプ氏が文書を破ってホワイトハウスのトイレに流したり、食べたりしたという目撃談は多くある。

 2018年のニューズウィークの報道によると、トランプ氏がホストを務めた番組『アプレンティス』に出演し、のちにトランプ政権で働いた経験を持つオマロサ・ニューマン氏は、トランプ氏が当時の弁護士と話した後、おそらく極秘情報が書かれていたであろう紙を食べていた現場に遭遇したと話している。ホワイトハウスでは当時それを虚偽情報と否定していたが、ハフポストによると、ニューヨークタイムズのジャーナリスト、マギー・ヘイバーマン氏は今年発売された著書で、トランプ氏が破った文書をトイレに流していたことから、ホワイトハウスのトイレは頻繁に詰まっていたと述べていた。また1月6日議会襲撃事件の捜査でも、当日のホワイトハウスの電話記録がなくなっていたり、シークレットサービスや国防総省、国土安全保障省でテキストメッセージが紛失する事態が発生している。

 今回の家宅捜索をトランプ氏や保守派は「政治目的」と非難しているが、決してそうではない。ここで大事なのは、アメリカが法治国家であり、いままであらゆる責任を逃れてきたトランプ氏が自身が犯してきた違法行為の代償を払う時が来たことだ。前大統領でも現在は一般市民であるトランプ氏にもほかの国民と同じ法律が適用されるべきなのである。今回の家宅捜索はその第一段階であり、今後もほかの局面でも同様の進展が続いて行くだろう。

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Text by 川島 実佳