若者の選挙離れを止めるか? フランス大統領選マッチングアプリが話題
◆マッチングアプリと同じ仕組み
そのようななか、若者の投票離れを改善しようと1月2日にリリースされたアプリが「エリーズ」だ。手掛けたのは20歳前後の若者2人。使い方は簡単で、提示される政策や意見に賛成なら右、反対ならば左にスワイプするだけ。これにより自分の考えに最も合う候補者上位3人が提示される仕組みになっている。もちろん、アプリ内でテーマ別あるいは候補者別にその意見を確認することも可能だ。
現在、同アプリには15人の有力候補の意見が11のテーマごとに、合計約500プログラムされており、内容は随時更新されている。エリーズが提示する文章は「公的機関からヨーロッパ連合の旗を外す」「ヨーロッパ憲章を地方言語で批准する」「学校に道徳の授業を導入する」「フランを国の新通貨にする」「定年を65歳に引き上げる」といったものだ。
当然ながら、スワイプ数が多ければ多いほど自分の考えに合う候補者が提示されることになる。同アプリによれば、スワイプ数が90だとマッチング率は20%に過ぎないが、350だと78%に上がる(フィガロ紙、1/7)。
◆個人情報は収集せず
「エリーズ」はリリースから2週間で100万回以上ダウンロードされた。当初はいくつかのバグが指摘されたり、個人データ漏洩につながるという批判が出たりしたが(フランス・キュルチュール、1/21)、開発者のひとりである19歳の学生マリ氏は1月19日に「すべての情報はアプリ再起動時に自動的に消去される」と発表した(ル・パリジアン紙、1/20)。その言葉の通り、現在は使用にあたり、年齢や性別、郵便番号の入力は不要で、起動時には「エリーズはアプリ使用時に何らの個人情報も集めない」とも明記される。
エリーズは若者の投票率を上げることを目的としたアプリだが、すでに支持政党が決まっている人にとっても、さまざまな角度から各候補者の提案を見直す良い機会となるに違いない。いずれにせよ確かなのは、20歳前後の若者が若年層の投票離れを憂い、こうしたアプリを開発リリースする土壌がフランスにあるということだ。
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