1991年ソ連崩壊の衝撃、中国共産党がそこから学んだもの

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 ソビエト連邦は1922年、世界初の社会主義共産国として誕生した。しかし腐敗や抑圧、秘密主義などから共産主義の理想の基盤は徐々に蝕まれ、1991年12月25日に当時のゴルバチョフ大統領が辞任を表明し、その歴史に終止符が打たれた。ソ連崩壊は同じ共産国である中国に深刻な恐怖と大きな教訓を与えたとされている。

◆中共震撼、ソ連崩壊を徹底研究
 豪ABCによれば、中国共産党はソ連崩壊について何千もの内部文書を作成し、研究会開き、ドキュメンタリー制作まで行ったという。ワシントン・エグザミナー誌に寄稿した外交問題アナリストのショーン・ダーンズ氏は、かつてのライバルでありイデオロギー的パートナーであったソ連の崩壊に、中国の指導者が深刻な不安を感じていたからだとしている。

 ブルームバーグのコラムニスト、クララ・フェレイラ・マルケス氏も、中国ほど熱心にソ連崩壊を解釈しようとした国はないと述べる。1989年4月に改革派の胡耀邦氏が死去した後、民主化を求めるかつてない街頭デモが起こり、翌月訪中したゴルバチョフ氏には民主活動家から熱い声援が飛んだ。そして6月には改革を要求するデモ隊に政府が武力行使した天安門事件が発生。共産主義体制が東欧を中心に次々と倒され、北京の指導者たちはこの事態に恐怖を覚えたという。ついに1991年にソ連が崩壊。「今日のソ連は明日の中国」と国民に説いていた中国は、ソ連の失敗を教訓に生き残りのための適応に向かった。

Text by 山川 真智子