マシュー・マコノヒーも政界進出か 米選挙、セレブが続々出馬

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◆オハイオ上院選ではベストセラー作家が出馬
 一方、現職の共和党上院議員が引退するため、多くの共和党予備選候補者が名乗りを上げているオハイオ州でも、著名人が出馬する。自身の経験を基にした著書『ヒルビリー・エレジー』が一躍ベストセラーになった作家のJ・D・ヴァンス氏である。ヴァンス氏は2016年の大統領選挙でトランプ氏を批判した過去を持つが、今回の出馬において、現在の共和党が「トランプ党」化していることから方向転換。CNNによると、トランプ氏の支持を仰ぐためか、以前トランプ氏を批判したツイッター投稿を削除して、「自分の発言を後悔している」と謝罪した。またトランプ氏が「良い大統領」だったと述べ、「国民のためにさまざまな良い決断をしたが、激しく批判された」と付け加えた。

 オハイオ州では2016年、2020年の大統領選でトランプ氏が勝利したが、元々激戦州でもあり、毎回共和党候補が勝つわけではない。2022年の上院選には民主党の人気下院議員ティム・ライアン氏も出馬を表明しており、激戦になりそうだ。

◆カリフォルニア州では「あの人」が……
 全米で最もリベラルな州のひとつであるカリフォルニア州では、今年9月14日にギャビン・ニューサム州知事のリコール選挙が行われる予定だが、これまでに70人もが出馬を表明しており、大混戦になりそうだ。リコール選挙は規定以上の署名を集めたために行われるが、同記事によるとニューサム知事自身は州民に人気があるため、リコールは不成功に終わる可能性が高いという。

 そんな70人の候補者のなかで、ひときわ異彩を放っているのが元オリンピック選手でリアリティ番組出演者でもあるケイトリン・ジェンナーである(同氏は性転換をしており、以前の名はブルース・ジェンナー)。カイリー・ジェンナーとケンダル・ジェンナーの父親として有名な同氏だが、政治的には素人で、熱烈なトランプ支持者でもあり、当選する可能性は低いとみられている。カリフォルニア大学バークレー校が行った世論調査によると、同州では36%の州民がリコール選挙を支持しているが、49%はリコールに「NO」と投票すると答えており、現時点ではリコール選挙が失敗するという見方が強い。同記事によると、ジェンナーを支持するのはわずか6%だという。

 セレブリティは名前が売れているため、選挙に出馬すると当選することもよくある。2020年大統領選で、黒人のバイデン支持率を減らすため、トランプ支持者のラッパー、カニエ・ウエストが出馬し、見事に落選したことは記録に新しい。民主党支持者でも、最近では「ザ・ロック」こと俳優のドウェイン・ジョンソンが「大統領選に出馬したい」と語ったこともあった。

 しかし、政治経験皆無、アメリカの法や憲法の知識もない(と思われる)まま出馬し、当選してしまった不動産会社経営者とリアリティ番組ホスト、ドナルド・トランプ氏の例もあることから、「セレブの政界進出はもうこりごり」と思うアメリカ人も多いことだろう。今後、アメリカの選挙出馬の際に「セレブである」という事実は有利ではなくかえって不利になるかもしれない。

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Text by 川島 実佳