過去のトランプ批判を謝罪 上院予備選出馬、ベストセラー作家の大人の事情

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 2016年に出版され、ベストセラーになり映画化もされた『ヒルビリー・エレジー』の著者、J・D・ヴァンス氏は、2022年の上院議員選挙に向けた共和党のオハイオ州予備選に出馬すると正式に表明した。2016年にはドナルド・トランプ氏を酷評していたが、出馬表明後は過去の批判発言を撤回。トランプ氏は良い大統領で自分が間違っていたと述べ、その豹変ぶりが話題になっている。

◆ベストセラー作家から政界へ 反トランプだった
 ヴァンス氏はオハイオ州出身の36歳。自伝ともいえる著書『ヒルビリー・エレジー』で、主要産業を失い衰退した「ラストベルト」と呼ばれる地域の白人労働者階級の文化や日常を描いた。2016年のトランプ氏の大統領選勝利の理由がまさに読み取れる作品として話題になり、ヴァンス氏は一躍有名人になった。現在はベンチャーキャピタリストとしても知られている。

 CNNによれば、ヴァンス氏は2016年の大統領選の期間にトランプ氏バッシングを繰り返していた。移民やイスラム教徒を怖がらせているのは非難に値するとツイートし、選挙では独立系候補のエヴァン・マクマリン氏に投票したと述べていた。さらにUSAトゥデイ紙では、トランプ氏の実際の政策提案は不道徳なものから不条理なものまで幅広いと指摘。アトランティック誌では、「一部の人をちょっとだけいい気持ちにさせる文化的ヘロイン」とトランプ氏を呼んでいた。

Text by 山川 真智子