過去のトランプ批判を謝罪 上院予備選出馬、ベストセラー作家の大人の事情

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◆共和党の現実を知った? 一転トランプ支持へ
 ところが、ヴァンス氏は7月1日の出馬表明の数日後にフォックスニュースに出演し、過去のトランプ氏批判を撤回した。トランプ氏は良い大統領で、人々のために多くの良い決断をし、多くの非難を受けたと思う、と主張を180度転換。2016年には自分も多くの人々と同様にトランプ氏を批判していたが、過去の発言で判断してほしくないと述べ、自身の露骨な発言を後悔していると話した。ヴァンス氏は過去のトランプ批判ツイートも削除している。

 CNNは、ヴァンス氏が豹変したのは政治的必要性からだと解説。トランプ氏を支持しない限り、共和党予備選での勝利はないというのが現在の政治的現実で、だれがもっともトランプ氏を愛せるかという戦いになっているとする。現職議員の引退によってできたオハイオ州の空席争いほど、それを如実に示すものはないということだ。

 政治誌ポリティコによれば、トランプ氏は3月にフロリダにある自身のゴルフクラブで資金集めのイベントを行った。その際すでにオハイオ州の上院選に立候補していた4人の候補者を呼んで秘密の会議を開いた。各候補者はトランプ氏のリアリティーテレビ番組を彷彿とさせる口論を展開し、自己アピールしたという。

 CNNは、現職ではない候補者がトランプ氏に忠誠を誓う以外に予備選で勝つことは非常に難しいとし、ヴァンス氏もこの現実に立候補表明から数日で気がついたと指摘している。

◆献金もトランプ色 最有力候補になる可能性も
 ヴァンス氏豹変のもう一つの理由は金だとも言われている。ヴァンス氏の出馬を後押しするスーパーPAC(政治家への献金の受け皿となる委員会)は、シリコンバレーの大富豪でトランプ支持者のピーター・ティール氏から1000万ドル(約11億円)の寄付を受けたと報じられている。また、トランプ氏の2016年の大統領選を大きく支援したといわれるヘッジファンドの大物、ロバート・マーサー氏のマーサー一族からも多額の寄付を受けているということだ。

 共和党のなかには、ヴァンス氏こそトランプ氏が大統領になった理由をうまく説明できる適任者という声もあるという。独特のスタイルと問題設定を持った「異色の候補」ではあるものの、有権者がライバル候補に失望した場合は、抜け出す可能性もあると見られている。(CNN

 まさに名を捨てて実を取ったヴァンス氏だが、その戦いぶりが今後注目されそうだ。

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Text by 山川 真智子