共和党州が投票を困難にする法改正 22年中間選挙に影響も

Ben Gray / AP Photo

 トランプ氏のそんな違法行為が明るみに出たにもかかわらず、共和党支持者のなかにはまだ何の根拠もなく、同氏の主張通りに「選挙が(民主党に)盗まれた」と信じている人々が多い。調査団体PRRIが今年5月12日に公表した調査によると、共和党支持者の66%が「2020年の選挙はトランプ(前)大統領から盗まれた」と信じているという。

◆「不便さは違法でない」民主党が最高裁で敗訴
 そのようななか、2016年に同様の改正がなされ、民主党全国委員会により提訴されていたアリゾナ州の州法について、最高裁は6対3で合法との判断を示した。NBCニュースによると、判決で保守派のサミュエル・アリート判事は、投票が「不便になるというだけでは違法であるとは限らない」としており、新しい法が有権者にとって不便であることは認めているが、あらゆる人種にとってある意味「平等に」不便になることで、差別的な違法性が認められないことを指摘している。

 同記事によると、今回の判決を受け、ジョー・バイデン大統領は「深く失望している」と述べており、また今回の判決で、今後同じような内容で提訴された州に対する判決に影響が出る可能性も高い。ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、今後同様の裁判で勝訴するためには、民主党が「人種差別的な意思」を証明しなければならないと述べた。2022年の中間選挙が近づくなか、司法省が今後どのように動くかに注目が集まっている。

【関連記事】
根拠なき「不正選挙」主張と、ネット拡散の理由は? 米大統領選
トランプ政権、郵便投票阻止のため郵便事業を妨害? 各地で提訴
アメリカの若者が選挙に行かない理由 日本とは異なるシステム上の問題も

Text by 川島 実佳