共和党州が投票を困難にする法改正 22年中間選挙に影響も

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 昨年11月の米大統領選でトランプ前大統領がジョー・バイデン現大統領に敗北した後、共和党は今年1月5日に実施された上院特別選挙と決戦投票では上院2議席を失った。連邦規模ではホワイトハウスと上下院の過半数を民主党に握られている同党だが、州政府規模では共和党が過半数を握る場合も多い。正攻法では民主党に負け続けてしまうと思ったのか、現在、テキサス州やジョージア州、アイオワ州、フロリダ州など多くの共和党州で、投票をより困難にするための州選挙法改正が続々と行われている。

◆司法省がジョージア州を提訴
 改正の内容は主に早期投票期間の短縮や郵便投票の厳格化、身分証明書提示などが多く、投票に手間がかかるようにすることで投票者をより少なくする狙いがあると見られる。より多数のマイノリティ住民が有権者登録を行い、選挙で投票することによって共和党候補者が負けるというパターンが続いているため、民主党支持者が多い大都市のマイノリティ(主に黒人)票を削減しようとしていると思われる。

 この事態を重くみたメリック・ガーランド米司法長官は6月25日に会見を行い、差別的な選挙法改正が公民権法に違反するとしてジョージア州を提訴すると公表した。今後、他州が同様に提訴される可能性も高い。

◆トランプ氏、ジョージア州で捜査対象に
 トランプ氏が僅差で逆転負けしたジョージア州は、同氏による「選挙を盗まれた」という虚偽の主張の恰好の標的となっている。トランプ氏が逆転負けしたのは、民主党支持者が多い同州最大の都市アトランタの開票が遅れたためと、同じく開票に時間のかかる郵便投票にバイデン票が多かったためだが、これがトランプ支持者による「真夜中に急にバイデン票が増えた」などという根拠のない嘘につながった。ABCニュースによると、トランプ氏は今年1月、同州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官に直接電話をかけ、バイデン氏を抜くために必要な票である「1万1780票を見つけろ」と要請していた。録音された2人の会話はすでにメディアに公開されており、明らかにトランプ氏が選挙結果の改ざんを教唆していることが伺える。このためCBSニュースによると、トランプ氏は現在、同州フルトン郡検事により不正選挙教唆などの容疑で捜査対象となっている。

Text by 川島 実佳