根拠なき「不正選挙」主張と、ネット拡散の理由は? 米大統領選

Evan Vucci / AP Photo

 米大統領選では大方の予想がバイデン氏有利としていたが、開票が始まると、トランプ氏の予想外の快走が報じられた。ところが一夜明けると、トランプ氏がリードしていた接戦州の状況ががらりと変わってしまった。突然大量の票をバイデン氏が得たとし、トランプ氏は不正選挙を主張。オンライン上でもそれに賛同する意見が拡散された。

◆不正を大々的に主張、でも証拠はなし
 トランプ氏は、バイデン氏のリードを無視し、選挙は詐欺行為と腐敗に主導されたとスピーチのなかで主張している。主要な場所で勝ちつつあったのに、奇跡のように秘密で自分への票が削り取られたと不信感を表し、すでに複数の州で訴訟を提起している。

 これに対し大手メディアのほとんどは、不正投票があったという証拠は出ていないと報じている。USAトゥデイ紙は、いくつかの州では今年のパンデミックの影響で大量となった郵便投票分の集計に遅れが出ていたと説明している。トランプ氏は証拠も出さずに不正を訴えており、それに対するメディアの質問に答えることを拒絶した。

 APも、バイデン氏の追い上げは単に不在者投票や期日前投票が集計された結果だと述べる。投票日から一夜明けた4日朝に、接戦となっていたウィスコンシン州でバイデン氏が急に10万票以上を得たのは変だというネット上の声に対し、およそ16万9000票の不在者投票の集計を終え、ミルウォーキーの選挙管理委員が結果を計上したのが4日の午前3時だったと説明する。集計はYouTubeで誰でも見られるようにライブストリーム配信されており、ウィスコンシン選挙管理委員会のミーガン・ウルフ氏は、選挙にはごまかしも秘密もないと述べている。

Text by 山川 真智子