社会運動に対する規制か? ナイジェリアの「ツイッター禁止」の実態、その影響

ブハリ大統領|Mary Altaffer / AP Photo

 ナイジェリアは国内でツイッターを禁止することを発表した。直前には、ムハンマド・ブハリ(Muhammadu Buhari)大統領のいくつかのツイートが削除されていたという経緯があるが、ナイジェリア政府は以前からソーシャルメディアの規制を目論んでいたようだ。ツイッターは、これまでボコ・ハラムによる少女誘拐への抗議や警察の暴力反対などに関するムーブメントの展開に寄与してきた。ツイッター禁止の経緯とその影響とは。

◆ツイッター禁止の経緯
 ナイジェリア連邦政府は4日、ナイジェリアにおけるツイッターの運用を無期限で停止すると発表した。情報文化省のウェブサイトによると、「ナイジェリアの安定的な存在・存続を脅かすような活動(activities that are capable of undermining Nigeria’s corporate existence)」にツイッターが継続的に利用されていることを理由に、ライ・モハメド情報文化相が停止を発表したとのことだ。この発表以前に、ツイッター社はブハリ大統領のツイートがツイッターの規約に違反していると判断し、問題のあるツイートを削除するとともに、アカウントを12時間使用停止(閲覧のみ)としていた。問題のツイートは、ナイジェリア南東部のビアフラ先住民族(Indigenous People of Biafra:IPOB)と呼ばれる分離独立派グループが政府関連施設に攻撃を仕掛けたとし、そのグループに報復すると脅迫するような内容が含まれた。さらに、1967-70年のビアフラ戦争(ナイジェリア内戦)に関連付けて、新たな内戦の開始を示唆するような内容のツイートが、多くのナイジェリア人の反発を買った(テッククランチ)。

 禁止の発表後、テレコム・ネットワークを通じてツイッターの使用が遮断された。BBCによると、ナイジェリア政府は、ツイッター禁止(一時停止)はツイッター社によるブハリ大統領アカウントへの対応だけが理由ではないとし、SNSが誤情報やフェイクニュースを拡散させ、オフライン上での暴力をもたらしていると説明した。モハメド情報文化相は、BBCのラジオインタビューで、ツイッターはナイジェリアに不安定な情勢をもたらしているとした。さらに、違反を犯したものは、だれでも起訴されうると述べた。現在ほかにツイッターが禁止されているは、中国、北朝鮮、イランなどだ。ナイジェリア政府はツイッター禁止後、ツイッターの類似プラットフォームであるインド発のKooにて、ナイジェリア政府オフィシャル・アカウントの運用を開始した。Kooもサービスのローカル化を早急にすすめるといったような姿勢をみせた。

Text by MAKI NAKATA