ベラルーシの「国を挙げてのテロ行為」はなぜ起きたのか 反体制派の記者逮捕の背景

2017年3月にミンスクで拘束された際のロマン・プロタセビッチ氏|Sergei Grits / AP Photo

◆警官の目出し帽をひっかいて禁錮2年半
 その逮捕と拘留がいかに一方的なものであるのか。たとえば、スイス国籍とベラルーシ国籍を持つナタリアは、普段はスイスに住んでいるが、年に一度ベラルーシに里帰りをしている。昨年は9月11日から21日の予定で娘とともに里帰りし、19日に友達と再会したあと、街中のデモに初めて参加した。ここに警察が介入。逃げようとして、一人の警官の顔をひっかき、この警官の目出し帽が外れた。そうして、それが理由で禁錮2年半の判決を受けた。(ベラルーシ人権センター

 また、美大生のアンジェリーナは1月30日、ミンスクの公園を歩いているときに警察に拘束された。その理由は、抗議の象徴となった旧旗の色である白と赤の靴下をはいていたというもの。結果15日間の拘留を経験した。(ル・モンド紙、3/22)

◆陸路の国境を事実上閉鎖
 また、ベラルーシは昨年11月以来陸路での入国を原則すべて禁止とし、12月20日からは、陸路での出国も禁止とした。ベラルーシ人だけでなく、外国人も対象となっている。ちなみに、ベラルーシと国境を接する西側諸国は、ポーランド、ラトビア、リトアニア、ウクライナの4ヶ国だ。

 同国は、国境封鎖の理由を新型コロナウイルス対策だと説明した。だが、大統領選で敗れたのちリトアニアに亡命したチハノフスカヤ氏は、これはベラルーシに「鉄のカーテン」を引いて国内で行われる罪を隠し、「我々の国を新たなグラグ(筆者注:強制収容所)にしようとするものだ」と非難した(RTS info)。

Text by 冠ゆき