マクロン対サルビーニ、EUの未来をかけ2人のリーダーが対決

Ludovic Marin, Pool via AP

 既存の中道政党が大きく議席を失った欧州議会選挙を受け、フランスの親EU派大統領とイタリアで極右集団を率いるEU懐疑派のリーダーが、権力の座をかけて争うことになった。

 EU加盟28ヶ国において5月26日までの4日間実施された欧州議会選の結果、中道右派と中道左派による支配に終止符が打たれ、右寄りの反EU政党と左寄りの環境政党が有力勢力として地歩を固めた。

 投票率はこの20年で最も高く、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアでは主流派政党に対する拒否反応が示された。

                                                                                                                 

 今回の選挙の結果、欧州の統治はますます困難になるだろう。移民対策、アメリカとの主要な貿易交渉、地球温暖化、テック系企業に対する規制、そしてもちろん、イギリスのEU離脱など、主要な問題の処理が行き詰まる可能性がある。

 選挙が終わった今、権力掌握に向けた争いはすでに始まっている。

 フランスでは、マクロン大統領率いる政党がルペン党首率いる極右政党に僅差で敗れた。マクロン大統領の政党は21議席を確保したとみられるが、ルペン党首の国民連合は22議席。28日にブリュッセルで開かれた首脳会合の前日、大統領は、長続きする親EU連合を成立させようとして同盟者確保に奔走した。

 イタリアでは、サルビーニ副首相率いる極右「同盟」が同国議席の3分の1を制し、欧州議会定数751のうち28議席を占める最大政党の一つとなった。しかしサルビーニ氏の野望はそれにとどまらなかった。

 ルペン党首のほか、ハンガリーで強硬な反移民政策を掲げるオルバン首相、ブレグジット党を率いるファラージ党首との会談を行い、言葉の上では矛盾するが、ナショナリストの国際集団を独力で集結させると公言した。

「誰もが妬み、同情、反感を克服できるなら、少なくとも100人、さらには最低150人の議員を抱える集団になりたい。代わりとなる存在を作るには、自分が演じるべき。相手を見下して事を運ばないことだ」とサルビーニ氏は話した。

 中道右派の欧州人民党(EPP)と中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)は、1979年に直接選挙が初めて導入されて以来、両党合わせて欧州議会を支配してきた。EPPの議席は5年前の217から180に減り、S&Dも187から145に減るとみられる。

 ヨーロッパで「グリーン・ウェーブ」とよばれる勢いに乗り、気候変動に対する行動を起こそうとしている環境政党は、とりわけドイツにおいて躍進した。マクロン大統領が支援する別の主流派政党で、自由市場を唱えるALDEも、2014年時点の68から109へと議席を増やした。

 欧州議会が欧州委員長を選出し、さらには法案を成立させるには、円滑に審議を進められる新たな連立を成立させなくてはならないが、いかなる場合でもALDE、環境政党と何らかの連携が必要になるだろう。

 EU加盟各国の大統領や首相が今回の選挙結果を総括するために集まる28日の夕食会合を前にして、極右集団との対決を十分意識しているマクロン大統領は、数々の会談をこなした。

 スペインを手始めに、ベルギー、チェコ、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの首脳と話し合いを重ねた。

「欧州議会で将来も多数派となるのは、間違いなく我々だ。我々のいない集団ではない」とマクロン派の政党から選出された政治リーダーのパスカル・カンファン氏は、フランス・インター・ラジオに語った。

 メルケル首相率いる中道右派がやはり敗れたドイツでは、第二次世界大戦以降で最悪の全国選挙の結果がもたらす影響について話し合うため、与党の政治リーダーたちが集まった。

 控えめなEPP候補者のマンフレッド・ウェーバー氏は「中道が収縮している」と述べ、「これからは、強力なEUを作りたければ団結しなくてはならない」とも話している。

 EPP所属の有力者は、欧州議会議長、強力な執行機関の長である欧州委員会委員長および、加盟国の大統領や首相を統括する欧州理事会議長という、EUの3つの要職に就いている。

 4億人を超えるEU市民の半数以上が今回の選挙で一票を投じた。

 欧州における実際の権限は28の加盟国にあるものの、欧州議会の影響力が高まっている。同議会は、欧州における航空安全の向上、プラスチック利用の削減、域内での携帯ローミング料金の廃止、データプライバシーの促進、自動車からの二酸化炭素排出削減に貢献してきた。

 ドナルド・トランプ氏のポピュリスト(大衆迎合主義)運動に力を貸して同氏を大統領に当選させたスティーブ・バノン氏は27日、パリで同好の欧州政党の勝利を祝い、来るべき戦いの対策を練っていた。

 バノン氏は、「これが今の流れだ。まさしく、ナショナリスト対グローバリストの争いだ」と話す。欧州議会の動きを止めることで、極右集団が勝利を収めると予言し、「毎日がスターリングラードの戦いのような日々となる」と言う。

By LORI HINNANT Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP