外国人労働者拡大「日本にはそれしかない」「欧州から学べ」 海外識者からの声

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 外国人労働者の受け入れを拡大する、改正出入国管理法が成立した。事実上の移民受け入れに舵を切ったとし、国内からは厳しい批判の声が上がっているが、海外は総じて政府の英断と見ている。もっとも、長らく日本人だけの均質な社会を誇ってきた日本では、移民社会への道のりは厳しいとも報じられ、今後の対応が注目されている。

◆2060年には生産年齢人口半減 ついに移民解禁?
 今回の改正により、新たな在留資格として、相当程度の知識や経験を要する業務に就く外国人には「特定技能1号」が与えられ、最長5年の滞在が許可される。熟練した技能を要する業務に就く外国人には「特定技能2号」が与えられ、家族の同伴が認められ、将来的には永住も可能になる。検討の対象となっている業種は、介護、建設、サービス業などの14業種だ。法務省は5年間で34万5千人を見込んでいる。

 総務省によれば、日本の人口は1995年より減少に転じ、2060年には総人口は8674万人(2010年より32.2%減)、生産年齢人口(15~64歳)は4418万人(同45.9%減)にまで減少するとしている。

◆海外では肯定 すでに日本の人口対策は手詰まり
 外国人労働者受け入れ拡大は、急速に進む少子高齢化による人手不足を和らげるためのものだとし、海外では肯定する声が多い。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、労働力不足に対処するため、日本の移民のタブーを破った安倍首相は称賛に値すると述べ、移民以外の選択肢は日本の停滞と衰退だと断じる。女性や人工知能の活用で解決をという意見もあるが、2017年にはすでに25~39歳の女性の4分の3が就労しており、すべての仕事をロボットが肩代わりできるわけでもないため、外国人労働者以外の選択肢はないとしている。

 ハンガリーのシンクタンクに所属する、日本政治の専門家Emese Schwarcz氏はディプロマット誌に寄稿し、日本において人手不足と高齢化の解決がほぼ手詰まりになっていると指摘。その解決策はおそらく外国人受け入れであることに疑いはないと述べている。

Text by 山川 真智子