トランプ氏「アリゾナ選挙で不正」 民主党勝利の上院選で、根拠なく主張

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 11月6日の中間選挙からはや1週間が経過した。同選挙では上院選こそ民主党が現在までのところ3議席を失ったものの、下院選では同党が過半数議席を共和党から奪回。トランプ大統領が将来的に弾劾される可能性が出てくるなど、米政治界はさらなる混迷の様相を見せている。

 しかし、中間選挙の結果はまだ完全に出たわけではない。12日になり、アリゾナ州上院選でやっと勝者が公表された。民主党候補で同州選出の現下院議員、キルステン・シネマ氏である。

◆民主党候補逆転でトランプ大統領が口出し
 6日の集計結果では一時共和党候補で同じく現下院議員のマーサ・マクサリー候補がリードしていたものの、開票作業が遅れていた同州ではその後開票が進むにつれてシネマ氏がマクサリー氏に追いつき、次第にリードを広げていった。CNNがウェブサイトに記載した集計結果によると、12日の時点で92%開票が終わり、シネマ氏がマクサリー氏を約3万8,000票リードしている。

 CNNによる12日付報道によると、同日になりマクサリー氏が敗北を宣言。過去24年間共和党が握っていた議席が、ついに民主党に渡ることになった。マクサリー氏はツイッターに投稿したビデオで、「私は今キルステン・シネマに電話して、激しい戦いの後にアリゾナ州初の女性上院議員が誕生したことを祝福した」とシネマ氏の勝利を祝福するメッセージを送った。

 しかし、マクサリー氏が敗北宣言をするまでには紆余曲折があった。トランプ大統領が、同州上院選に「不正があった」と横槍を入れたのである。トランプ氏は9日、ツイッターで「たった今の報道によると、アリゾナ州では(投票用紙の)署名がマッチしていない。選挙の汚職、選挙のやり直しが呼びかけられている? われわれは民主主義を守らなければならない」と投稿した。

 ニュースサイト『Vox』の9日付記事によると、トランプ大統領はツイッターに投稿する前にアリゾナ州選挙の開票作業に関するFOXニュースの報道を観て、自分の都合のいいように解釈して証拠もなく汚職の疑いをかける投稿をしたということだ。

Text by 川島 実佳