「新日英同盟」軍事的急接近の背後にあるものとは 英識者が指摘するニーズの一致

出典:外務省ホームページ

 第1次大戦前の「日英同盟」の復活かーー。河野外相と小野寺防衛相が今月14日、ロンドンを訪れてジョンソン英外相、ウィリアムソン英国防相と2+2会談を行い、防衛面で関係を強化することで合意した。来年には陸海軍の日英合同演習が予定され、世界一の性能になるとされる空対空ミサイルの共同開発計画も進行中だ。この海洋国家同士の軍事的急接近を、20世紀初頭の日英同盟にたとえる報道も見られる。

◆日英は防衛上の歴史とニーズを共有する島国
 会談を通じて、来年、英国海軍のフリゲート艦HMSサザーランドとHMSアーガイルが訪日し、海上自衛隊と合同演習を行うことが決まった。日英海軍が合同演習を行うのは、日英同盟が解消された第1次世界大戦後初。英陸軍部隊も来年来日し、陸上自衛隊と歴史上初めての演習を行う予定だ。『アジア・タイムズ』は、「日本と英国は第2次大戦では敵同士だった。しかし、過去は過去だ。この2つの島国は来年、海軍合同演習を計画している」という書き出しで、2+2会談の成果を報じている。

 日英両国は防衛装備品の技術協力にも力を入れ始めており、特に英国製ミーティアミサイルに日本製の電子部品を組み込んだ新型空対空ミサイルの共同開発は、完成すれば世界一の性能となると期待されている。2+2では、4大臣が試作研究・発射試験を含むプロジェクトの次の段階への進展への期待を表明した。

 英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティのジョン・ヘミングス氏(アジア研究所ディレクター)は、英紙テレグラフに寄せた記事で「両国は海軍の歴史を共有しているだけでなく、両海軍は共通した未来に向かっている」と指摘。「英国と日本は似た防衛上のニーズを抱えている。アメリカと密接な防衛上の結びつきがある島国であり、防衛予算は概ね同規模で、特に海軍、空軍の装備では非常にニーズが似通っている」という元在日英国大使館員のコメントを引用している。

Text by 内村 浩介