前原新代表は自民党との違いを出せるか? 海外メディアも注目した民進党代表選

flickr / U.S. Department of State

 民進党の代表選が本日1日に実施され、即日開票の結果、前原誠司氏が新代表に選出された。日本の最大野党である同党の動きは、事前に海外メディアも伝えるところとなっている。前原氏有利の事前報道通りの結果となり、今後は野党再編にも繋がる可能性がある。しかし、依然支持を集める自民党に対し、党としての独自性を出すのは相当なチャレンジとなるのではないかという指摘もある。

◆海外でも前原氏有利の下馬評 枝野氏よりも自民寄りの立ち位置
 海外でも開票に先立ち前原氏有利との読みを伝えた上で、両者の政策を比較する形で報道が行われた。ブルームバーグでは前原氏の掲げる「All for All」のスローガンを紹介し、低所得層と地方を重視した税の再分配を政策の柱として伝えている。一方の枝野氏は共産党寄りの姿勢で、脱原発の推進のほか、平和憲法改正の断固反対を強く訴える。事前調査では前原氏が41%の支持を集めたのに対して枝野氏が28%となっており、前原氏有利との見方を開票前から伝えていた。

 フィナンシャル・タイムズ紙も同様に、前原氏優勢との報道を展開していた。こちらは氏のコメントを引用し、自身の政策がこれまでの民進党路線とは一線を画するという認識を伝えている。高所得者層への増税を中核としていた党の立場から一転、幅広い層への増税を含めた「中福祉・中負担」の社会を目指すとのことだ。なお、前原氏は最低賃金の底上げや大学無償化なども掲げる。安倍政権の政策とも重複しており、民進党の存在感を十分に示せないのではないかという見方も同メディアでは伝えている。

◆安倍政権の支持低下中の代表誕生で、支持層拡大の見込みは?
 新代表誕生で政権復帰への手がかりを掴みたい民進党だが、道のりは厳しい。相次ぐスキャンダルによる安倍政権の支持率低下は民進党の好機となり得るが、ブルームバーグでは自民党が34%の支持を集めるのに対し、民進党はわずか4%という厳しい調査結果を報じている。内紛続きで一貫した政策を示せず、いまだ自民党優勢の構図が続いているとの分析だ。

 フィナンシャル・タイムズ紙も民進党の政策不在を問題視している。「(民進党は)独自のアイデンティティ構築とほぼ5年にわたる政治上の不遇の時代からの回復に苦戦しており」と、党の求心力の不在が足枷になっていると見る。同紙では政権時代の経済政策の失敗と東日本大震災への対応で不備があったことを挙げ、いまだそのダメージから回復できていないとしている。新代表の誕生で明確な方針を打ち出し、有権者を惹きつけることができるかが問われるところだ。

◆今後の影響は? 野党間の協力体制見直しも
 前原氏の選出で、どのような影響があるだろうか? フィナンシャル・タイムズ紙では、枝野氏のリベラルな姿勢と比べ、前原氏は安倍政権に対抗すべく右派寄りの方針を示す可能性があると示唆している。中福祉・中負担の国家の実現に向け、富裕層だけでなく幅広く課税する意向であることから、消費税増税にも党として賛成の立場を示す可能性がある。

 同紙は選挙協力体制にも触れ、民進党と共産党の連携が見直される可能性を指摘する。共産党との間で票が割れ、小選挙区で当選しにくい構図になっていたためだ。一方で幅広い支持を受ける小池百合子氏との連携を視野に入れるなど、党を取り巻く環境は大きく変化しそうだ。

 また、ブルームバーグでは、2018年までに行われる国政選挙には影響があると考えているようだ。エコノミストの分析として、枝野氏よりもより広く人気を集める前原氏が選出されたことにより、自民党は選挙の時期を後ろ倒しする公算が高いとの見方を伝えている。野党第1党の代表交代で、今後の国政への影響も少なからずありそうだ。

Text by 青葉やまと

Recommends