日本、米露対話の窓口に? 米海軍高官が期待…日露の合同海上訓練受け

 日本自衛隊は27日から、日米共同訓練を北海道大演習場(千歳、恵庭、北広島市)で開始した。約800km離れたウラジオストク沖では26日から、海上自衛隊がロシア海軍との捜索・救難共同訓練を実施している。

 海外各紙は、日本が米露とバランスをとりながら関係を維持していかなければならない背景を報じている。

◆米露との演習を並行して進める日本
 米軍と自衛隊が北海道で行う12日間に及ぶ合同軍事演習『オリエントシールド2014(Operation Orient Shield)』では、日米約2000人が参加。米陸軍は軍事用攻撃型ヘリ「アパッチ」や装甲車を北海道に送り込んだ。

 一方、海自とロシア軍による演習は、ロシアによるクリミア併合宣言以降初めてだ。日本は、この日ロ共同訓練のため、護衛艦「はまぎり」をウラジオストクに派遣した。

 このような米露との演習について、ロシア国営のRIAノーボスチ通信は、安倍晋三首相は、米露のどちらかにつくということをせず、防衛の均衡を図ろうとしている、と指摘している。

◆バランスを取ることは3者ともに有益では?
 上智大学のティナ・バレット准教授は、「安倍首相は、ロシア制裁というアメリカの方針から逸脱するリスクを冒すことはできない」と指摘する。「中国との領土問題での高まる対立を解消するため、また、TPPの話し合いを進めるためにも、オバマ政権の好意が必要なのだ」(ブルームバーグ)

 日本は、ウクライナへのロシア軍侵入に関して、アメリカ・G7が支持する制裁に加担している。しかし、これはロシアからの反発を招き、軍事的緊張が高まった。ロシアの航空機が日本近海に頻繁に近づき、6月までの3ヶ月間で、自衛隊の戦闘機が数百回出動するという事態が生じている。

 東京財団研究員の畔蒜泰助(あびるたいすけ)氏は、「日本にとって難しいのは、アメリカとの同盟が、防衛の中心だということだ」「どうやってそれと同時にロシアとの関係をも維持できるか。安倍首相にとって目下の非常に重要な課題だろう」(ブルームバーグ)とみている。

 安倍首相は、ロシアが3月に行ったクリミア編入で中断されるまで、両国の関係強化に努めてきた。同首相は、11月北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議に合わせて、9ヶ月ぶりにウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談で関係修復を図るとみられる。

 しかし、一方でアメリカ側からもこの努力を評価する意見もある。米海軍のロバート・トーマス第7艦隊司令官は、日本とロシアの共同軍事演習は、有益な接触だと述べた。日本の海上自衛隊がロシア軍と連携することは、米ロが直接対話をできずにいる現状では、対話の窓口としての役割もあるのでは、としている(ブルームバーグ)。

◆避けて通れないエネルギー資源の確保
 日本がロシアとの関係を維持したいのは、領土問題や防衛のためだけではない。 

 ロシアは、日本の天然ガス輸入の10%を供給している。ブルームバーグは、今後も更に増える可能性がある、とみている。

 エネルギー情報サイト『ICIS』では、両国間に直接のガスパイプラインが建設される可能性もあるだろうとの、日本エネルギー経済研究所(IEE)の意見を取り上げている。IEEの田中伸男特別顧問は、「ロシアは、重要な国だ。ロシアは最近、ガスを中国に売ることを決めたが、これは日本にとっても悪いことではない。むしろ良いことだ」と述べた。「ロシアは、太平洋側に伸びる中国へのパイプラインを建設するだろう。(この計画は)日本にもガスを供給する機会を生むものだ。あるいはこれにより、直接日本とロシアを繋ぐパイプラインを建設することにもなるかもしれない」(ICIS)

 政府は、風力、太陽光など、「エネルギーミックス」と呼ぶ政策の中で、再生化のエネルギーの割合を増やそうと動いている。同様に、石炭の利用も電力会社から提案されている。しかし、依然として、ある一定量のエネルギーを確保するため原子力発電に頼らざるを得ないだろう。国全体の電力の30%を原子力発電に頼っていたのだ。陸続きの隣国からエネルギーを供給できるドイツのようにはいかないだろう、とICISは結論している。

実は日本人が大好きなロシア人 (宝島社新書) [amazon]

Text by NewSphere 編集部