79%が労働法違反…日本の「外国人技能実習制度」に海外から批判 “搾取的”と米国務省も報告

 9日、内閣府が2014年1~3月期の国内総生産(GDP)を発表した。GDPは、前期比1.6%増、年率換算で6.7%増だった。経済回復に支えられ、求人倍率も過去8年で最も高い伸びを見せている、と『中国網絡電視台』は報道している。

 人手不足を解消するため、安倍晋三内閣は外国人雇用拡大を目指しているが、新興国への技術移転を目的に設立された「外国人技能実習制度」には海外からの批判が集まっている。

【外国人は安い労働力として搾取】
 2013年10月11日、石川県白山市の婦人服製造会社「カメダ」で技能実習生として働いていた中国人女性3人が、同社と実習先をあっせんした県輸出縫製品工業協同組合を相手取り、金沢地裁に提訴した。

 3人は2009年11月に来日。制度上、研修期間は実務作業に従事せず業務研修を受ける時期だが、実際に作業に従事した上、研修生としての手当しか支払われなかった。また、月平均155時間の残業があったが、最低賃金以下の残業代しか支払われなかった、

 2011年の就業記録によると、3人は1日16時間、週6日働き、昼休みは15分しか取らなかったにもかかわらず、給料は時給4ドルに過ぎなかった、とロイターは報道している。

 現在、日本には約15万5千人の技能実習生がいるという。2012年の労働監督署の調査によると、技能実習生を受け入れている企業の内、79%は労働法に違反している、と同紙は指摘している。

 中国人女性3人の提訴内容によると、来日後間もなく、協同組合は3人のパスポートを取り上げた。実習生の行動の自由を制限し、辞職の際に厳しい罰金を課すなどの慣行に関し、海外でも批判が強まっている。アメリカ国務省は、「2013年度人身売買報告」の中で、日本の「外国人技能実習制度」を「搾取的」と批判した。

 安倍晋三内閣は「外国人技能実習制度」のさらなる拡大を目指しているが、国内からも反対の声が上がっている。日本弁護士連合会は、人権問題の観点から、研修生制度は廃止すべきと主張している。

【非正規社員と正社員との格差増大】
 外国人就労問題以外にも、増大し続ける2000万人もの非正規社員と正社員との格差が社会問題となっている。非正規社員は今や労働力全体の約40%を占める一方で、賃金水準は38%低い、とブルームバーグは報道している。

 総務省統計局の統計によると、2012年12月に安倍晋三政権が誕生した時点に比べて現在の正社員数は110万人減少している。一方、非正規雇用の比率は今年2月時点で38.2%と過去最高水準に達した、と同メディアは指摘している。

 日本の経済成長のカギを握る労働市場問題に安倍内閣がどのように取り組むか、国内外から注目が集まっている。

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Text by NewSphere 編集部