日印、対中にらみ防衛協力を強化 両国報道には微妙な温度差

 インドを訪問中の小野寺防衛相は6日、ニューデリーでアントニー国防相と会談した。

 両氏は、海上自衛隊と印海軍の共同訓練を今年は日本で行うことで合意。また3回目となる次官級対話や、陸上部隊のテロ対策分野等の専門家交流の実施など、防衛協力の強化で一致した。

 その他、小野寺防衛相が昨年12月に策定された国家安全保障戦略及び防衛計画の大綱について説明。アントニー国防相はその丁寧な説明に対し謝意を示した。

【中国の海洋進出を視野に入れた、日印の連携強化】
 日本の防衛相の訪印は4年ぶりとなる。先月は天皇陛下が50年ぶりに訪印、今月には安倍首相が訪印する。また、今年後半にはアントニー国防相が訪日する予定だ。

 これら日印の交流活発化の背景には、11月に東シナ海に防空識別圏を設定するなど海洋進出を図る中国の台頭がある。日印両国はともに中国と領土紛争の最中で、特に南シナ海における中国の強硬姿勢と人民解放軍の急速な近代化をインド・タイムズは指摘した。

 また、今年4月にはヒマラヤ山脈沿いの国境地帯で中印両軍のにらみ合いが起きた。これは1962年の日印国境紛争以来の異例の事態だとブルームバーグは報じた。

【救難飛行艇「US2」購買はインドの優先事項ではない?】
 今回の会談では、新明和工業が製造する救難飛行艇「US2」のインド輸出計画についても話し合われた。印海軍がアンダマン、ニコバル、ラクシャディープ諸島で海難救助のため使用することが目的だ。

 会談前、一部の日本の報道は小野寺防衛相がUS2輸出について協議を進めると報じたが、インドの報道ではインドの優先事項ではないと報じていたと、インド紙ザ・ヒンドゥーは報じた。

 同紙はまた、日本の報道は中国に対抗するため日印の定期的な共同訓練を期待していたが、インドの報道では日印中がアデン湾で海賊行為防止の演習を一緒に実施していたため、インドは脅威の観点から沈黙していたと報じた。

Text by NewSphere 編集部