ヨーロッパ深部に眠る「大アドリア大陸」とは 1億年前に消えた幻の大陸
♦︎10年をかけた偉業
ヒンスベルゲン博士のチームは大アドリア大陸の発見までに、10年という長い年月を費やしている。研究の障害となったのは、 地中海沿岸の複雑な地理だ。ナショナル・ジオグラフィックは、実は失われた大陸の存在自体は、これまで複数の科学者たちに予見されていたと述べている。プレート・テクトニクスの見地から存在は予想されていたものの、地中海沿岸の地域が地学的に入り組んでいるために調査が思うように進まず、決定的なことは何ら判明してこなかった。ヒンスベルゲン博士が研究を進めた際も、対象地域が30ヶ国以上に及び、それぞれが独自の論理モデルやマップ、調査手法などを採用していたため、情報の収集は困難を極めたという。
また、サイエンス誌は、堆積物のごく限られた量だけが現在遺されていることも研究を困難なものにする要因となったと指摘する。このように情報の収集は気の遠くなるような作業であったが、解析の段階に入ると、あるコンピュータソフトの登場によって光がもたらされる。
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