ヨーロッパ深部に眠る「大アドリア大陸」とは 1億年前に消えた幻の大陸
失われた大陸といえば大西洋に沈んだとされるアトランティスが有名だが、近代科学によってその存在は残念ながら否定されつつある。しかし、これとは異なる大陸が実際に存在し、1億2000万年前ごろに地中に飲み込まれる形で消滅していたことが明らかになった。「大アドリア大陸」と名付けられたその大陸は、現在大部分がヨーロッパの地底に眠るが、一部は私たちが訪れることのできる場所に遺されている。
♦︎ひっそりと消滅した幻の大陸
数億年前の地球には、パンゲアと呼ばれる唯一の大陸が存在した。これはやがて北側のローラシア大陸と南側のゴンドワナ大陸に分裂する。両大陸はその後さらに分断され、現在のように南極を含めて6つの大陸を形成した。この過程で誕生し、そして1億2000万年前から1億年前までに地中に沈んだ知られざる大陸が、今回発見された大アドリア大陸だ。オランダ・ユトレヒト大学で地質学を研究するダウ・JJ・ファン=ヒンスベルゲン博士のチームが、10年をかけた研究成果としてその正確な位置を突き止めた。
その大きさは、現在のグリーンランドほどに相当する。大陸とはいっても当時から大部分は水面下に沈んでおり、その上には水深の浅い温暖な海が広がっていたと考えられている。もともとほぼ水面下にあったこの大陸は、大陸プレート同士の衝突によって地中へと沈み込んだ。その最深部は現在、ギリシャの地下1500メートルの地点に眠っている。