禁止は無理? 子供のソーシャルメディア利用、どうあるべきか 米国の実情より

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 ソーシャルメディアが子供たちに及ぼすさまざまな悪影響が報告されており、アメリカの親のなかには使用を禁止したり制限したりする動きが見られる。しかし、いまやソーシャルメディアは、アメリカのほぼすべての10代が参加するコミュニティになっており、使わずに生活すること自体が現実的ではないという見方もある。

◆パンデミックで加速 若者のソーシャルメディア利用
 子供と電話の使用に関する懸念は以前からあるが、専門家の間では、新型コロナの大流行が、思春期を根本的に変えたという見方が広がっている。パンデミックにより、若者は孤立感に耐えるためオンラインで過度に長い時間を過ごしたことから、アメリカの子供たちの生活においてソーシャルメディアが占める割合が非常に大きくなった。(AP

 米調査機関ピュー・リサーチ・センターの2023年の調査によれば、ティーンエージャーの95%がソーシャルメディアを利用しており、3分の1が「ほとんど常に」利用していると回答している。

 プラットフォームとしてトップに立つのはユーチューブで、10人中9人が利用している。ティックトック、スナップチャット、インスタグラムがこれに続き、前回調査の2022年以来、これらを利用する割合はほぼ変わっていないという。

◆なしでは暮らせない… 学校生活に浸透
 ハーバード大学医学部のマイケル・リッチ教授は、ソーシャルメディアはいまや子供たちにとっては空気と同じで、良くも悪くも社交の拠点になっているとAPに述べる。多くの子供たちはアイデンティティを形成したり、アドバイスを求めたり、リラックスしてストレス解消するためにソーシャルメディアを利用しており、その影響は服装や話し方にまで及んでいるという。

 その一方で、若者がオンラインで過ごす時間が長くなるほど、精神衛生上の問題を起こすリスクが高くなるとされており、こうした懸念から、子供のソーシャルメディア利用を制限する親もいる。

 APは、実際にソーシャルメディアを使わせない家庭を取材。子供たちは使用しないことでほかの活動に集中できるとポジティブだが、使わないことのデメリットも感じていた。たとえば、自分以外の誰もが同じジョークを聞き、同じティックトックダンスを練習していれば、孤独を感じることになる。親のほうも、同調圧力や仲間外れを心配していた。

 ソーシャルメディアを使わないこと自体は平気でも、テクノロジーが学校生活の一部になっている以上、不便を感じる場合があるという。放課後の課外活動でインスタグラムが必要だったり、生徒会の連絡にスナップチャットが使われていたりした例もあった。皮肉にも、学校のせいで、ソーシャルメディア禁止というルールを見直さなければならなくなったと親は述べている。

 また、読書に情熱を注ぎ、ブックスタグラマー(インスタグラムの書評家)になりたいという子もおり、情熱を追求するツールを規制することにジレンマを感じる親もいた。

◆禁止ではなく共存を 使ってこそ学べる付き合い方
 専門家のなかには、ソーシャルメディア禁止は解決策ではなく、子供たちはテクノロジーと共存する方法を学ぶ必要があるという意見がある。

 APはソーシャルメディアとともに成人した子供たちに下の世代へのアドバイスを求めた。18歳の彼らは、幼いころからレストランで静かにするためにスマホを渡され、文字が読めないころからMusica.ly(ティックトックの前身)で覚えたダンスを踊り、パンデミックのためにスマホやパソコンの画面越しに仲間とつながるしかなかった世代だ。

 まったく新しい世界を歩んでいる彼らからは、「すべてを共有する必要はない」「ソーシャルメディアで見聞きしたことをあまり深刻に考えないで」「コントロールするのは自分」「ソーシャルメディアは学ぶためのツール。他人に良く見せるためのものではない」「誰もがあなたに友好的ではない。ブロックしても大丈夫」など、心強いアドバイスが並んだ。

Text by 山川 真智子