米、学校でのヘイトクライムが深刻に…5年で2倍 FBI発表

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 アメリカで、人種や宗教、性的指向などに対する偏見に根付いたヘイトクライム(憎悪犯罪)が増加している。発生場所は幼稚園から大学までの教育機関が自宅、道路に次いで3番目に多いことがわかった。

◆学校でのヘイトクライムが5年で2倍に
 アメリカ連邦捜査局(FBI)が1月29日に発表した犯罪統計によると、ヘイトクライムの10件のうち1件が幼稚園から大学までの教育機関で発生していることがわかった。2018年から2022年までに発生したヘイトクライムの中で、学校が、自宅、道路に次いで3番目に発生頻度の高い場所だった。

 FBIはヘイトクライムを、人種、民族、宗教、性的指向、性別に対する偏見に根付いた犯罪と定義している。

 ヘイトクライム件数は、2018年の8492件から2022年の1万3346件に記録的に増加した。

 特に、学校で報告されたヘイトクライム件数が、2018年の700件から2022年の1336件へと2倍に膨らみ、その数は全体の10%を占めた。5年間の総数は4343件で、半数以上の2815件が保育施設、小・中学校、高等学校で起きた。また、最も多かった手口は脅迫で、破壊・破損・破壊行為、単純暴行が続いた。標的としては、黒人(1690件)、LGBTQ(性的少数者、901件)、ユダヤ人(745件)の順で多かった。

 ヘイトクライムの被害にあった青少年の30%以上が学校で犯罪を経験しており、加害者の青少年の36%近くが学校で罪を犯したことが判明した。

 5年間を通じ、学校でのヘイトクライムが最も多く発生した四半期は10月〜12月で、全体の約3分の1(32.7%)がこの四半期に報告された。10月は1日あたり4件のヘイトクライムが発生していた。

Text by 中沢弘子