誘いを断っても思うほど人間関係に影響しない、研究で明らかに

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 飲み会や映画に誘われたけど行きたくない……。でも断ってしまえば今後の付き合いに支障が出るのではと嫌々オーケーしたという経験のある人は多いだろう。しかしアメリカの研究で、誘いを断られた相手は、断った側が思うほど気にしていないということがわかった。

◆自分が思うほど相手は気にせず
 この研究は、「Journal of Personality and Social Psychology(パーソナリティーと社会心理学ジャーナル)」に掲載されたものだ。本研究の前の予備研究では、回答者の4分の3以上が、相手の機嫌を損ねることを恐れ、参加したくない活動への招待を受けたことがあると回答。その理由を明らかにするため、2000人以上の参加者を対象に、複数の実験を行っている。

 そのうちの一つの実験では、ある人が友人をレストランでのディナーに招待するというシナリオを描き、被験者を招待した側と招待された側に分けて配役した。招待された側には、その日の早い時間にすでに別の予定があり、家で静かに過ごしたいのでディナーは遠慮するという想定を与えた。招待した側には、同じ理由で友人が断ったと告げた。

 断ることを想定させられた被験者の多くが、友人との関係がすぐに悪化すると予期。友人が怒り、がっかりし、今後のイベントに誘ってくれなくなると考える傾向が強かった。しかし断られた側でそう考える人は、断った側が予期したほど多くはなかった。

 さらに、招待を断った人は、断った理由よりも断ったという事実を相手が重視するのではないかと考える傾向があり、これが気乗りのしない招待を受けてしまう理由ではないかと研究者たちは指摘している。この実験を通し、招待した人の負のリアクションを、招待された側は過大評価していることがわかった。

Text by 山川 真智子