フランス人はみんな夏中バカンスを楽しむ? 本当はどうなのか?

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 バカンスと言えばフランス。夏になるとフランス人は一斉に数週間の休暇を取って、日がな一日海辺のリクライニングチェアで読書している、というイメージを抱く人も多いだろう。果たしてそのイメージは正しいのだろうか?

◆フランス人はみんな夏にバカンスに出るのか?
 答えを先に言ってしまうと、フランス人の過半数は、夏のバカンスに出かける。逆に言えば、夏のバカンスに出かけない人も意外に多く半分近くいるということになる。2022年の夏は46%がバカンスに出かけなかったし、今夏もバカンスに発つ予定がないフランス人は40%と見積もられている(フランス・アンテール、6/19)。

 バカンスに出ない一番の理由は経済的なもので、その割合は46%と半数近くを占める。それに次ぐ理由は、健康問題(16%)、個人的選択(13%)、仕事(9%)、家族(8%)で、経済的理由と比べれば、ずっと少ない比率だ。(同)

 また、1960年代から今世紀初頭までの統計を見ると、1979年に冬のバカンスに発つ人が増え始めたころから、夏のバカンス組は減少している。具体的には、1979年にはバカンスに発つ人の69%が7月か8月を選んでいたのが、2004年には57%だった。(INSEE

◆夏のバカンスは海?
 海辺がフランス人のなかで一番人気のバカンス滞在先だというのは、長年変わらぬ事実だ。2007年の統計によれば、バカンス中の宿泊の半分近くは海辺であった(INSEE)。2022年においても国内人気のバカンス先は、地中海や大西洋に面する地域だった(ウェスト・フランス紙)。

 バカンスの行き先に、外国を選ぶフランス人も増えてきている。2022年の統計では、夏のバカンスに出かける予定であった55%のフランス人のうち、国内旅行予定者は44%、外国旅行予定者は11%と、4:1の割合だった。昨年、外国旅行組に人気だった渡航先はスペイン、イタリア、ギリシア、ポルトガルで、いずれも海辺の滞在が可能な国だ。(ウェスト・フランス紙)

Text by 冠ゆき