日本から来た山菜と戦うイギリス 驚異の繁殖力・生命力を前に悪戦苦闘

イタドリを理由に立入を禁止する場所も|Charlie Goodall / Shutterstock.com

 日本の山野や土手などに自生する草木のイタドリは、非常に強力な繁殖力を持つ。日本から海外へ広がり、現地で駆除に手を焼くケースも多いようだ。ほぼ全土に広がったイギリスでは、家屋など建築物の侵食が問題になっている。

◆家屋などに「深刻な被害」の恐れ
 イタドリが庭に繁殖しているというだけで、物件の価値を毀損することがある。英デイリー・メール紙によると、ある家具デザイナーはロンドン南西部の豊かな地域に自邸の購入を済ませ、アトリエやテラスを追加で建設しようとしていた。ところが庭の手入れをしていたところ、物置の脇の茂みにイタドリが生えているのを発見したという。イタドリは丈夫で成長が早く、同紙は「存在に気づかない場合、建物や建設現場に深刻な被害を及ぼす恐れがある」と指摘している。別の会計士は、家を売る際に庭にイタドリがあることを説明しなかったことから、20万ポンド(約3300万)の支払いを求める訴訟に直面している。

 完全な根絶が困難であり、いずれにせよ数年後にはまた繁殖することから、イギリスの専門家たちは除草剤の使用を推奨していない。英エクスプレス紙によると、イギリスのある新興企業は、土壌に電流を流すことで根を破壊する「RootWave」と呼ばれる装置を開発した。だが、土地からイタドリを一掃するには5年から10年かかり、費用も3000ポンド(約49万円)と雑草処理にしては高額だ。

Text by 青葉やまと