ドイツで欧州初の「堆肥葬」開始 遺体を40日かけて土に 費用30万円
遺体を栄養分が豊富な土に変化させてから埋葬するエコロジカルな「堆肥葬」が、アメリカで広がっている。昨年末ニューヨーク州が堆肥葬を認可したことは記憶に新しいが、たった数年間で6州が遺体の堆肥化にゴーサインを出した。加えて、デラウェア州などいくつかの州が合法化に向けて動き出している。
ヨーロッパでは、生分解しやすい木製や柳製などの棺に遺体を入れて土葬する「グリーン葬」や、火葬後の遺骨を樹木の下に埋葬する「樹木葬・森林葬」は行われている。そして、とうとうヨーロッパでも堆肥葬が始まった。ドイツで、2人の男性が堆肥葬「マイネ・エアデ(Meine Erde)」を提供する会社を立ち上げた。
◆初年度は6人が利用
ヨーロッパ初の堆肥葬サービス、マイネ・エアデは2022年2月に始まった。マイネ・エアデが行える場所は、ドイツ最北端に位置するシュレスウィヒ・ホルシュタイン州の人口約2万人のメルン市(Mölln)だ。アルヴァリウム(Alvarium)とネーミングした礼拝堂は使われていなかった墓地の礼拝堂で、遺体を入れて生分解する棺(同社ではコクーンと呼んでいる)がここに設置されている。
コクーンの中に遺体(裸体)を入れ、藁や干し草、木くず、活性炭と一緒に40日間保管する。コクーンは木製の外観の大型装置に入れ、コクーンに酸素を常時送り、コクーンをゆっくりと動かす。温度や湿度の調整も含めたこの堆肥化はセンサーで管理する。40日後に遺体は完全に堆肥化しないため、残った骨は機械で細かくするという。生分解した遺体を埋める場所は、許可されている場所であればどこでもよい。
同社に問い合わせたところ、1月末時点で「堆肥葬は5件行われ、シュレスウィヒ・ホルシュタイン州内とハンブルク州のいろいろな墓地に埋葬された。現在、1件がコクーンに保管中」と回答を得た。
上の映像では、アルヴァリウムやコクーンの様子がリポートされており、堆肥化の仕組みを具体的にイメージできる。同社共同設立者のパブロ・メッツ(Pablo Metz)氏は、このリポートで「依頼が続いたので、数件断らないといけなかった」と話している。