香港にうさぎ専門リゾート宿泊施設 休暇は予約満杯の人気

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 香港近郊にある空調のきいたビルの中で、うさぎたちが遊び場を駆け回っている。コットンでできたトンネルを探検するうさぎもいれば、木製タワーを登るうさぎもいる。

 狭小のアパートがひしめき合う世界有数の人口密集都市である香港において、うさぎはペットとして人気が高い。

 そして飼い主の留守中、残されたペットはうさぎ専門の高級リゾート「バニースタイル」で、うさぎ好きのスタッフから世話を受ける。

 とくに1月は、香港では新型コロナウイルス関連の規制が解除されたことで、うさぎ年を迎える旧正月休暇中の旅行者数が急増した。バニースタイルのオーナー、ドナ・リー氏は「休暇中は予約でいっぱいです。定期的な運動とパーティー、スパトリートメント、そしてたくさんの牧草でうさぎは幸せな時間を過ごしています。安心な環境を提供することを心がけています」と述べている。

 自身も2匹のうさぎを飼うリー氏は、6月にバニースタイルを開業した。当初は暑く湿度の高い香港の気候から解放され、跳び回ることのできる遊び場のみを提供していた。

 同氏は「開業時にはうさぎにとって快適な室温下で安全に遊ぶことのできるスペースを作ることばかり考えていました」と話す。

 政府が新型コロナウイルス関連の規制を段階的に解除しはじめた昨年9月、必要性を感じ取ったリー氏はすぐに宿泊施設を開設した。クリスマスの期間はすべて予約で埋まり、今はすでにイースター休暇に向けての予約を開始している。

 中国の行事のなかでも最も重要な旧正月中は、15匹のうさぎを預かるリー氏とスタッフにとって忙しい日々になった。給餌以外にも、ブラッシングや爪切りを施し、運動をさせる。事前に特製野菜ケーキを注文する飼い主もいる。

 リー氏は「うさぎは人が話すことを理解していると思います。優しく接しているか、よくお世話をしているか、うさぎは感じ取ることができます。ですから、うさぎのお世話をするときにはたくさん話しかけるようにしています。どれほど美しくてかわいいのか、うさぎに伝えています」と話す。

 飼い主にはライブ配信とビデオクリップが送られるため、うさぎが元気よく跳び回り、楽しんでいる様子が客に伝わるという。飼い主はバニースタイルをインターネットで見つけ、パートナーと旅行に出かけるクリスマス休暇中にうさぎを預けていた。

 バニースタイルの宿泊料金は1泊15ドル程度で、スタッフが目を配るなかでの30分間の遊び時間が含まれる。美容トリートメントやそのほかのスペシャルメニューは追加料金となる。

 香港でうさぎが人気を集める一方で、その扱いに手を焼いている飼い主がいるのも明白である。「トロバニー」のようなシェルターがあるのはそのためだ。2015年に設立されたこの団体は、公の場で譲渡会などを開催し、飼育放棄されたウサギに新しい家族を見つける活動を行う。

 広報担当のブリジット・ン氏は、旧正月を終えた数ヶ月間に、当シェルターが開設している24時間対応のホットラインへの救援要請が急増すると予想していた。すでに、飼い主が手放した42匹のうさぎがボランティアの自宅で一時的に保護された。

 同氏は「1年のなかでもバレンタインデーやイースター、クリスマスなどの祝祭イベントや休暇の期間は特に、いつもより多くの人がうさぎを飼いたいと考えるようです。しかし、2、3ヶ月後には、同様に多くのうさぎが飼育放棄されるのです」と状況を説明する。

 トロバニー創設者のウィンキー・チェン氏は「家のない犬や猫にはより手厚いケアが施されてはいるが、種類を問わず、飼育放棄された動物により高い関心が向けられ、救いの手が差し伸べられることを願っています」と話す。

By ALICE FUNG and KARMEN LI Associated Press
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP