子供の肥満に薬物治療、手術を推奨 米国小児科学会、新ガイドライン公開

肥満症治療薬として米で承認されたWegovy|Novo Nordisk via AP

◆子供への処方も承認 4つの新薬登場
 子供の肥満に対する新薬が、ガイドラインの発表とほぼ同タイミングで登場した。Orlistat、Saxenda、Qsymia、Wegovy の4種の子供への適応が承認された。正常なBMI値に修正する作用があるこれらの新薬だが、その一つ、12歳以上の子供に使用可能なセマグルチド週1回皮下注射製剤のWegovyは、医学誌ニューイングランド・ジャーナルに掲載された最近の研究で、10代の未成年者のBMIを平均約16%減少させる作用があることが分かった。だたし、食事と運動療法の補助的な服用になる。すでに大学病院がこの薬の使用を開始したが、保険適用外となり、ひと月あたり約1300ドル(約17万円)の費用がかかる。

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校小児分泌学専門家のロバート・ラスティック医学博士は、「問題の原因を究明せずに、こうした治療法を手あたり次第施すのには反対だ」と慎重な姿勢を見せる。同博士は、長年肥満の増加には砂糖の取りすぎが原因だと主張し、高濃度の砂糖と低食物繊維の超加工食品を絶つダイエットを促している。(AP)

 一方、ロサンゼルスのシダース・シナイ・メディカルセンターの小児科医ステファニー・バーン医学博士は、「製剤を定期的に使用する前に、子供の多様な患者群に製剤の効能についてさらに調査して、長期的な副作用について調べるべき」と慎重だ。ただ、「肥満に苦しむ子供たちのなかには、ダイエットと運動ではうまくいかない子供もいるということを理解すべきです。おそらく、大半の子供がそうかもしれませんが」と述べた。(同)

Text by 中沢弘子