「ナルシスト」はどのような人なのか 自信満々の仮面の裏に劣等感 人間関係でトラブルも

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◆人付き合いが難しく
 このほか極度のナルシストによくみられる特徴として、攻撃的なこと、支配欲が強いこと、過剰な自信に満ちていることなどが挙げられる。自慢話やエリート主義に走りがちだったり、特別扱いされないとすぐ気分を害したりすることも少なくない。深い人付き合いが難しいのはこのためだ。ウェブMD誌は、このような傾向が幼児期の虐待に端を発していることがあり、劣等感から自分を守るための行動である場合があると紹介している。

 ただ、原因の断定は難しく、ほかに遺伝や単純な性格、そして音や光に対する過敏性などが複合的に影響しているといわれる。いずれにせよ、周囲の人々が不愉快に感じることがあると同時に、本人としても満たされない欲求に苦しんでいるというのが実情だ。米NPO医療センターのクリーブランド・クリニックは、極端なナルシストである自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の診断を受けた人々に対し、「しかし内面では、不安と劣等感を感じ、空虚に思っていることでしょう」と呼びかけている。

◆治療法が存在する
 NPDは極めて珍しいわけではなく、人口の5%ほどが該当すると推定されている。自身がナルシストだと感じ課題意識をもっている場合、いくつかの治療法がある。クリーブランド・クリニックはアメリカでの選択肢として、長期的なカウンセリングに取り組むこと、場合によっては抗うつ剤や向精神薬などの薬物療法を取り入れることなどを挙げている。

 ウェブMD誌は、ナルシストは他者の助けを求めることに抵抗を感じやすいため、治療を望まないことが多いと述べている。しかし同時に、自覚さえしていれば行動を客観的に見つめ直し、極端な行動を自制することが可能だとも説く。周りを困らせていることを自覚できれば、そこが改善の第一歩になるようだ。

Text by 青葉やまと