フランス、なぜ若者に無料コンドームなのか? 日本と違う避妊事情

フランス・パリの薬局(1月9日)|Francois Mori / AP Photo

◆検査、ワクチン、コンドーム
 性感染症に感染しても無症状のことも多いため、感染を止められない原因となっている。だからこそ検査が重要となる。フランスでは、予防のために2019年まで検査数を増やしてきていたが、新型コロナウイルスの影響で2020年には検査数が半減し、いまだにその遅れを取り戻せていない。(vih.org、11/30)

 性感染症予防に効果的なワクチンは現在のところ、B型肝炎ワクチンと、HPVワクチンの2つが存在する。また、WHOによれば、性器ヘルペスウイルスとHIVのワクチン研究も進んでおり、いくつかの候補ワクチンは初期の臨床段階に入っている。

 だが何と言っても、性感染症予防に最も効果的な方法はコンドームの使用だ。

◆日仏の若者の性生活
 フランスの場合、日本と異なり梅毒はむしろ減少傾向にあるが、クラミジア感染は2017年から2019年の間に29%増加している。この傾向は、特に若い世代で顕著で15~29歳では45%の増加だ。(vih.org)

 淋病もまた増加傾向にあり、HIVは年間約5000人の新規感染が続く状態だ。特に2017年以降は、25歳未満のHIV感染者数が減らず、2021年の新規感染者の15%をこの世代が占めていた。(20minutes紙、12/9)

 若い世代の性感染が多いと聞くと、フランスの若者の性生活が乱れているのかと早合点しそうだが、そうとも限らない。種々の統計を紐解けば、フランス人の初体験は、男女ともに平均17~18歳の間で男性の方が数ヶ月早い。この年齢は過去20年間ほぼ変化がない。(フュチューラ・サンテ誌)また、生涯に持つセックスパートナーの数は、平均10.6人(男性14.1人、女性7.3人)だという。(avec.fr

 日本人の場合、ある調査によれば、初体験の年齢は平均20.3歳、生涯に持つセックスパートナー数の平均は9.1人(男12.3人、女6人)で、どちらも日仏に大きな差はない。

Text by 冠ゆき