フランス、なぜ若者に無料コンドームなのか? 日本と違う避妊事情

フランス・パリの薬局(1月9日)|Francois Mori / AP Photo

◆避妊法の選択肢が多すぎることが災いか?
 ではなぜフランスではこれほどコンドームの使用をプロモートする必要があるのか? それは、フランスの避妊法の選択肢が日本と比べ格段に多いことにある。たとえば、フランス厚生省のサイトには、9種類の避妊法が載っており、そのうち5つは公的医療保険による還付対象だ。

 フランスでは、1967年のヌーヴィルト法で経口ピルが合法化されて以来、経口避妊薬が広く用いられてきたが、近年血栓症リスクが取り沙汰されるなどして使用は減少した。それでも、経口ピルはいまだにフランスで最も多く用いられている避妊法で、2016年の調査によれば、女性の36.5%が経口ピル、同18.8%がコンドームを使用している(うち3.3%は経口ピルとコンドームを併用)。世代別に見ると若い世代ほど経口ピルの使用率が高く、20~24歳では、経口ピル使用が59.5%で、コンドーム使用が25.5&(うち6.9%は併用)となっている。

 日本では女性の82%がコンドームを避妊法としている(日本家族計画協会、2016年調査)。これと比べるフランスの使用率は非常に低い。

 避妊法の選択肢が多いのは良いことだが、性感染症予防で最も効果があるコンドームの使用が広がらない要因になっている。

Text by 冠ゆき