「永遠に残る化学物質」を学生服から検出 発がん性指摘のPFAS 北米調査

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◆制服から高濃度のPFAS検出
 研究チームが2020年と21年に防汚加工のポロシャツやカーキ色のパンツなどの制服として販売された9つのブランドを含む72の子供服を調査した。その結果、大半の制服に撥水加工が施されたアウトドア服と同等の高濃度のPFASが検出された。水着やベビーカーのカバー、ベビー用よだれかけ、帽子なども調査されたが、制服が最も高いPFAS濃度を含有していた。とくに100%綿製の制服は、水を吸収する性質から防汚加工に多量のPFASを使用して加工される傾向があり、合繊混紡の制服よりもPFAS濃度が高いことが判明した。

 「(略)制服は1日最長8時間も肌に直に着用するため、有害物質にとくに敏感な子供への影響が懸念されます」と研究報告書の最終著者でインディアナ大学の環境化学マーサ・ベニエ教授は語る。また、PFAS加工された制服は、着用、洗濯、処分、リサイクルの過程で環境への汚染源になる可能性があることも指摘している。(インディアナ大学

 同調査は72の製品を対象とした小規模な研究のため、衣服に含有したPFASが子供の体内に浸透するのか否か、浸透する場合どのような作用が働くのかといった詳細については、化学の領域でないので調査の対象になっていないという(BBC、9/21)。

 共同執筆者のノートルダム大学物理学グラハム・ピースリー教授は、消費者が「子供たちのために化学物質で加工されていない衣服を選ぶ」ことができるよう衣服へのラベル付けを増やすべきだ、と意見をまとめた(ヒル紙、9/21)。

◆ニューヨーク州とカリフォルニア州 衣服へのPFAS使用禁止可決
 米国とカナダの学齢児童の約4分の1が2018年時点で制服を着用しており、米教育省の全米教育統計センター(National Center for Education Statistics:NCES)によると、同時点で米国の公立学校の児童の約5分の1が制服の着用を義務付けられている。

 カリフォルニア州のニューサム知事は9月29日、制服を含めた衣服へのPFASの使用を段階的に廃止する法案に署名した。ニューヨーク州議会も同様の法案を可決し、州知事の承認待ちの段階にある。

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Text by 中沢弘子