OECDで最低のコロナ死亡率、日本の対策は世界のお手本? 海外が理由を分析
◆マスク着用に加え、肥満率の低さが影響か
日本で新型コロナによる死亡者の割合が少ない原因は、現時点ではっきりと判明していない。前提として、統計上のある程度の誤差は否定できないだろう。ブルームバーグは、死亡原因をコロナだと特定する基準は国ごとに異なり、検査方針も異なると指摘している。しかし、それだけではないようだ。
WSJ紙は、日本の厚生労働省の感染症対策分科会メンバーである東邦大学の舘田一博教授(微生物・感染症学)に取材を行っている。教授は日本の死亡率が低い理由については「正直なところわかっていない」としながらも、マスク着用率の高さが貢献している可能性に触れた。これと同時に、日本における肥満率の低さも幸いした可能性があるようだ。コロナ治療にあたってきた大阪の谷口恭医師は同紙に対し、「肥満は最大のリスク要因だと確信しています」と語っている。2016年の日本の肥満率はOECD最低の4.2%であり、アメリカの40%と大きな差がある。米疾病対策センター(CDC)は、肥満が免疫力低下の要因になり、新型コロナによる入院リスクを3倍に引き上げると発表している。
◆G7最高のワクチン接種率
ブルームバーグはこのほか、社会的なコンプライアンスが行き届いていることや、ワクチン接種率が高いことも死亡率抑制につながったのではないかとしている。日本ではワクチン接種は義務ではないが、G7諸国で最高の接種率となっている。
日本のコロナ対策に難点があるとすれば、経済回復の遅れだろう。WSJ紙は今年の経済成長率が欧州・米国ともに2.5%を見込むのに対し、日本は1.7%だと述べ、回復の遅れを指摘している。経済とのバランスを今後どう取るかも、欧米の興味の対象となりそうだ。
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