性暴力、窃盗目的ではない? 謎の注射攻撃、仏で頻発 麻薬検出のケースも

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◆薬物を打たれた可能性も
 これだけの被害例がありながら、注射により何らかの薬物を打たれたのか、それとも単に注射針を刺されただけなのかはいまだに判然としない。これまでの被害者らの検査では明らかな手がかりが見つかっていないからだ。

 ただ、専門家らは被害者の症状に「ブラックアウト」を含むことなどから、薬物を打たれたとすれば、日本で麻薬指定されているGHBやそれと同じ効果を持つGBL、第3種向精神薬に指定されているベンゾジアゼピン系薬、もしくは麻酔効果のある抗ヒスタミン薬の一種である可能性を指摘している。(TFI、5/6)

◆レイプドラッグとは?
 GHBは、もともとは術前麻酔薬などに用いられてきた薬品だが、強力な睡眠効果とブラックアウトと呼ばれる一時的な記憶喪失を引き起こすのに加え、飲み物の味や匂い、見た目を変えることなく混ぜることができるため、レイプや盗難などの犯罪に用いられることが多い。そのため「レイプドラッグ」という別名を持つ。さらに、GHBは数時間すると血液検査で検出されなくなるため、立証するのが難しい。

 とはいえ、4月30日にフランス南西部の村の祭りで被害にあった18歳の女性の血液からは、微量のGHBとインスリンが検出されている。この被害者は太ももを刺されたあと、全身ののぼせと嘔吐、また急激な血圧上昇を経験した。注射を打たれた場所は青あざとなり、インスリンのせいで膵臓の機能に異常が生じた。(フランス・ブルー、5/26)

Text by 冠ゆき