「サイコパス」はどういう人なのか? 魅力的に見え、特定の職業で活躍も

フランス・パリでの反ロデモ(3月5日)|Andrey Vyrodov / Shutterstock.com

◆サイコパシーの特徴とは
  ASPDの特徴についてヘルス・ライン誌は、「社会的に無責任な行動をとる」「善悪の区別がつかない」「他人を傷つける」「表面的には魅力に満ちている」などと説明している。

 また、サイコパシーの有無を診断するテストが1970年代にカナダで開発されている。これは20項目からなるもので、各項目を0(当てはまらない)から2(完全に当てはまる)までの3段階で回答する。40点中30点以上となると、サイコパシーだと判定される。米サイコロジー・トゥデイ誌によると、改訂版となる「ヘア・サイコパシーチェックリスト改訂版(PCL-R)」では、次のような特性をチェックするように作られている。正確な判定を受けるためには精神科医による診断が必要だが、サイコパスとされる人々の特徴を理解するうえでもこのリストは参考になりそうだ。

「口がうまい/上辺だけの魅力」「過大な自己肯定」「刺激の追求/退屈する傾向」「病的なまでの嘘」「他人を騙す/操る」「自責の念の欠如」「乏しい感情」「冷淡/共感性の欠如」「他人に依存した生活」「行動の抑制の乏しさ」「乱れた性行動」「若年期の問題行動」「現実的な長期的目標の欠如」「衝動」「責任感の欠如」「行動への責任を認めない」「短期的な婚姻関係を繰り返す」「少年犯罪」「仮釈放の取り消し」「多種類の犯罪を犯す」

◆犯罪率を高めるが、向いている職業も
 ASPDは10代後半から20代にかけてもっとも顕著な症状を示すが、その治療は難しいとされている。ヘルス・ライン誌はその理由のひとつとして、本人たちが問題を認識しておらず、治療を受ける意思がないことが多いと説明している。また、一見してASPDのようであっても類似したほかの精神衛生上の問題が原因となっていることなどがあり、診断を複雑にしているのだという。

 研究によると、サイコパシーの特徴を持つ人は刑務所に入る可能性が20〜25倍ほど高く、暴力関係の再犯を犯す確率も4〜8倍になる。米メディカル・ニュース・トゥデイ誌は、パーソナリティ障害は生涯続く病気であり治療は難しいものの、症状の改善や生活の質の向上は可能だとしている。また、ビジネスパーソン、政治家、法律家、エンタメ業など、特定の職業で成功しやすい可能性があるようだ。

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Text by 青葉やまと