「買収されているのか」ロシア擁護の米テレビ司会者に非難の声

Gage Skidmore / flickr

◆政治家からも非難、司法捜査の可能性も
 アメリカではすでに、タッカー・カールソンがロシア政府から何らかの支援を受けた一種の「工作員」ではないかという意見も多く聞かれる。ハフポストによると、民主党のディック・ダービン上院議員は上院でスピーチを行った際、カールソンがプーチン大統領の「弁解者」として振る舞っていることで、「私がアメリカのプーチンの弁解者の話を聞くたび、私はそれが誰なのか、そしてどういう目的を持っているのかを疑う」「タッカー・カールソンは、ロシア人がメディアの友人に同氏の話を聞くように推奨している人物で、ウラジーミル・プ―チンのために弁解をしている。(プーチンに)弁解できることはない。これは認められないことで、彼(タッカー・カールソン)は自分自身を恥じるべきだ」と述べた。

 またタッカー・カールソンは保守派政治家からも攻撃を受けている。エンタメ・メディア情報サイト『ラップ』によると、テキサス州選出のマイケル・マコール下院議員は、タッカー・カールソンの番組を「ロシアの偽情報の報道機関」と呼んだほか、政治・メディア情報サイト『Mediaite』によると、反トランプの保守派の政治コメンテーター、アナ・ナバロ氏は、タッカー・カールソンについて「ロシアのオリガルヒを捜査するタスクフォースと同じように、ロシアのプロパガンダをしているプーチンのお世辞係も司法省が取り調べるべきだ」と述べている。

 ウクライナの思わぬ抵抗に遭って戦闘が泥沼化し、現在、ロシアがウクライナを占領できる可能性は日に日に低くなっている。もし仮にそうできたとしても、経済制裁が続けばロシア経済が破綻する日もそう遠くないだろう。それとともに、ロシアのプロパガンダ役をしているアメリカ人たちが、何らかの形で捜査や社会的制裁を受ける可能性も捨てきれない。

【関連記事】
元コメディアンとテック起業家が本領発揮、ウクライナのデジタル・メディア戦略とは
ダンス動画に偽ヌード写真 米民主若手に保守派が嫌がらせ 逆に人気アップ
「移民はアメリカを汚す」FOXニュース司会者が発言、スポンサー24社失う

Text by 川島 実佳